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男性警護官。

それは、女性にとってあこがれの職業だ。

理由は単純で、いちばん男性にもてるから。


その職業内容からも、男性に必要とされるため、夢の職業といえる。


私、水瀬 蕾も正直言って、そういった下心からこの仕事を選んだ。


資格を取るまでは地獄の日々だった。


まず、初めに男性を前にして興奮しないようにする訓練が始まった。

男性の等身大モデルの訓練はすぐクリアすることができた。

でも、男性の等身大抱き枕と添い寝訓練では男性の香り(人工)のする香水を使用していて、クリアできるようになるまで、つらい日々が続いた。


次に、格闘訓練が始まった。

実践練習では私のコンプレックスでもある大きい胸が邪魔になった。

でも、そんなことじゃくじけなかった。

いつか可愛い男の子の護衛をできるようになる、そんな夢があったから。


そして最後に、実習期間が始まった。

ここでは、本物の男の人を護衛する仕事を手伝って、ミスをしないようにしなければいけない。

この時、興奮して男性を襲ったり、ミスをして少しでも男性を不快にさせるようなことがあれば、資格を取ることはできない。


私の実習担当の一人目は、丸くてふさふさの男の人でした。

今考えれば不清潔で、太っていただけですが、その時はその人のことを好きになっていました。

ですが、ここで手を出したりすれば、今までの努力は水の泡になってしまいます。

なので、必死に我慢してその日を乗り切りました。

そして、実習最後の護衛対象からの合格をもらおうとしたとき、その人に言われました。



「正直言って、気持ち悪かったよ。豚みたいな、その胸。僕は優しいから一応合格するけどさ。ほかの人を担当するときは隠したほうがいいよ。」



きっと、その人は本当に優しさからその言葉を言ったのだと思われます。

ですが、私にとってはその言葉は痛すぎて。

心に刺さりすぎてしまって。


そして、その日から私は仕事の時はさらしを巻いて、胸を隠すようになった。



試験をとった後の仕事は、ほかの仕事よりは男性と接する機会も多くて、楽しかった。

けど、想像してたような、優しい男性の護衛をできることはなかった。


ある日の依頼で、少年とその母親の外出の護衛依頼が入った。


最初は平日とはいえのんきに買い物なんて、危機感がなさすぎる。

どうせ、息子を溺愛する母親とマザコンの息子なんだろうと思った。


護衛当日、依頼された場所に行くと、そこは豪邸だった。


まさか、と思いインターホンを鳴らすと、資料にあった母親が出てきた。



「いらっしゃい。あなたが護衛官の人ね。蕾ちゃんって呼んでいいかしら?」


「あ、はい。、、、じゃなくて!ここって実家なのですか?」



想像してたよりもずいぶん普通の母親で、びっくりした。

それに椿ちゃんって、なんでフレンドリーな人なんだろう。


って、そうじゃなくて。

普通に出てきたけど、ここって実家なのかな。

そうだとしたら、男の人の住所はじめて知っちゃったんだけど?



「そうよ。ここが私としょうちゃんの愛の巣」


「は、はぁ。」



なんだ、やっぱり親ばかじゃん。



「ちょっと、母さん。蕾さん困ってるじゃん」



そういって、母親の後ろから顔を出したのはまさしく天使でした。

いままでの、依頼者の比じゃないくらいの可愛さで、私の心はつかまれました。

続きます。


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