グローリー王国からの使者
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ヒラガ公爵の魔道具工場にドッグが置かれ、飛行船が停められている。風のオーブはそこで取り出され、代わって王子が作り出した風の魔石が設置されていた。
すでにセイレーン号の換装は終了し、内部構造を学んだヒラガ家では新たな飛行船が作られようとしている。
「この度は王子が一番損をしましたな。報酬の黄金が国庫にすべて編入されるとは」
「何、ボクは王子だ。金なんて要らないよ」
ヒラガ公爵のからかいを、クーデルはさらっと返す。
「王子、すいません」
「いいって。その代わり。ボクを勇者パーティに入れてくれ」
クーデルはライトの手を握って、そう頼み込んできた。
「勇者パーティって、俺は別に魔族と戦いたいわけじゃないんですけど……」
「細かいことは気にしない。それにいざという時のために、風の魔力をもつボクの力が必要だろう」
クーデルはセイレーン号を見上げてアピールする。
「確かに。分かりました。これからよろしくお願いします」
「ああ。楽しみだな。父上から幼い頃聞かされた冒険の旅に、この年になって出る事ができるなんて」
こうして、クーデル・セントバーナードが仲間に加わった。
「さあ、冒険の始まりだ。大空へと飛び立とう」
クーデルがそういった時、王宮から使者が来る。
「クーデル王子、王宮へお戻りください。グローリー王国から使者がやってきました」
「何の用だい?まさかライト君たちを返せとでも言ってきたんじゃないだろうね」
不機嫌そうに言う王子だったが、使者は首を振る。
「違います。王子に婚約を申し込まれました」
「ほえ?」
あまりに意外な話に、クーデルはぽかんとするのだった。
王宮 謁見の間
セイント王が難しい顔をしている。その前にクーデル王子とシャイン兄妹がいた。
「陛下、なぜ私たちも招集されたのですか?」
「うむ。グローリー王国から使者が来たのでな。卿らにも立ち会ってもらったのだ」
王は咳払いすると、使者が謁見の間に入ってきた。
「え?ルパート執事長様?」
「お久しぶりです。シャイン元伯爵様」
ルパート執事長は慇懃に一礼する。その体はあちこち傷付いて、ボロボロだった。
それでも気丈に胸を張って、使者の要件を告げる。
「こほん。グローリー王国はセントバーナード王国の要請を受諾し、セレニティ王女の降嫁を認める。ありがたくお受け召されるよう。その際に、結納品として食料と薪を要求する。すみやかに王国に届けるように」
精一杯虚勢を張った口上に、セイント王の眉が上がった。
「確かにクーデル王子との婚約話は当方から持ち掛けたものじゃ。長年の対立関係の解消のためにな。じゃが、そちらから断られたはず」
「寛大なる陛下は、考え直されたのでございます」
ルパートはそう答えた。
「それに、『降嫁』とはいかなる意味か?我が国は貴国の下風にたった覚えなどないぞ」
「勇者の故郷である我がグローリー王国のほうが、格上なのは自明」
それを聞いて、セイント王は薄く笑った。
「これは異なことをおっしゃられる。過去はどうあれ、現在我が国は勇者の一族を擁しておるが」
「彼らは勇者の勇名を貶める不肖の子孫。何の権威もありませぬ」
ライトたちの方を向いて、ルパートは傲然と言い放った。
それを聞いた廷臣たちの中から、笑い声が沸き上がる。
「知らないとは哀れなことよな」
「ライト殿は、先祖の勇名を借りるだけの無能者ではない。すでに二代目勇者として独自の勇名を確立なされているというに」
そんな笑い声が聞こえてきて、ルパートは真っ赤になった。
「ふむ。ともかく即答はしかねる。使者殿にはしばらく滞在してもらおう」
「すみやかにご返答いただけるように申しあげます」
そう言って頭を下げるルパートには、焦りが見られた。
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