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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
二十六章
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9話 のんびりからの勝負所

 爽やかな目覚めで始まったハッピーウイーク二日目。美食神様の様子を見に行った結果、光の神様と森の女神様との待ち合わせに遅刻してしまったが、パリ風のカフェでご機嫌な朝食を注文して、改めて自分が恵まれた環境に居ることを自覚した。




「なるほど、航が笑顔で注文するのも分かるわね。上質なショコラと生クリームの濃厚な風味と味がクロワッサンにピッタリだわ。シンプルだけど素晴らしい甘味ね」


 ……ホットショコラが大人気だな、なんてのんきなことを考えていたのだが、僕の笑顔が原因だったらしい。


 たしかに注文する時、温かいショコラにサクサクのクロワッサンを浸し、その温度と食感とショコラの味と香りを想像して笑顔になっていた気がする。


 良い大人がそのくらいでと思われるかもしれないが、大人だからこそ童心に帰れるというか、そんな楽しみが加わって笑顔になれる飲み物だと僕は思っている。


 そう思っているし、別に悪いことではないはずなのだが、なんだか女神様方の微笑ましい物を見るような微笑みが地味に恥ずかしい。


 でも、美食神様のお墨付きを得たうえで、光の神様と森の女神様も頷いているのだから僕の考えは間違っていなかったということだよね?


 ……まあ、クロックマダムもチーズのオムレットもトリュフのラビオリもお墨付きの美味しさだったんだけどね。


 クリス号はラグジュアリークラスの豪華客船だけあって、やはり料理のクオリティが高い。


 単純な僕は海外のド派手な豪華客船に目を奪われることが多いが、そのことを考えると日本のラグジュアリークラスの豪華客船が一番僕好みの、というか日本人好みの豪華な御馳走を提供してくれるのかもしれない。


 うう、日本の豪華客船が欲しくなってきた。でも、最近船の購入が続いているし、自制は必要だ。今は後の楽しみにとっておくことにして、女神様方との時間を全力で楽しむことに集中しよう。


 つまり、耳かきタイムだ。


 報酬だし三女神様方もお願いすれば快く約束を果たしてくださるのだが、お願いするのが結構恥ずかしいから至福の時間にたどり着くまで結構大変だ。


 主に羞恥心が。


 でも、至福の時間の為には避けては通れない道なので、頑張って違和感なくお願いできるように努力しよう。




 ***




 女神様方滞在三日目。


 昨日は至福の時間でした、ありがとうございます。


 誰に感謝の気持ちを抱いているのか分からないが、目が覚めると自然と感謝の気持ちが湧いてきた。


 創造神様に純粋な感謝の気持ちを抱くのは難しいので、おそらく三女神様方かこの世界への感謝の気持ちだろうか?


 耳かき等の報酬に関しては今までも何度かお願いしていることなので、女神様方も直ぐにピンときて約束を果たしてくれた。


 三女神様方の耳かき。


 最初は本当の耳かきをしてくれる。それはとても贅沢で女神様方の太ももを含めて最高に気持ちが良い時間なのだが、さすがにすぐに終わってしまう。


 だが、僕がこのシチュエーションが大好きで、耳垢をとることだけが目的ではないと三女神様方も理解してくれているので、耳垢を取り終わった後は耳の中を傷つけないように優しく何度も交代で耳かきをしてくれる。


 これを至福と言わずになんと言えばいいのだろう?


 その後は、のんびりデート気分で船内を散策し、お食事と軽食やデザートを楽しむ穏やかで優雅な時間。


 昨日一日はそんな幸せな時間を過ごした。


 普通であれば昨日一日が女神様方滞在のメインで、終わった後は軽く燃え尽きるのだが、今回はまだ今日も含めて五日も残っている。


 燃え尽きている暇などない。


 海を見ながらルームサービスのコーヒーを飲みつつ、今日の予定を考える。


 光の女神様と森の女神様との時間も当然大切だが、やはり保留イベントが沢山残っている美食神様に集中するべきだろう。


 昨日と同じく朝食の約束はしてあるし、まずは美食神様の様子を見に行き、三女神様方との朝食。


 その後、美食神様に調理器具自慢してからの、この世界のアンコウと虎ふぐの披露の流れで行くか。


 このイベントを楽しみとして後に取っておいても良いかもしれないが、早めに熟しておくことで美食神様手作りの新メニュー、いや神メニューをゲットする機会が増える。


 よし、決めた。


 まずはまた徹夜しているであろう美食神様と合流だな。




 屋台船のキッチンに入ると、予想通り美食神様は料理に夢中な様子だ。


 ただ、昨日と違いシフト制を許可したサポラビには余裕があるようで、疲れを感じさせずキビキビと行動している。


 昨日と同じく美食神様に話しかけ、そして昨日と違い朝食の席に遅刻しないように美食神様に釘を刺す。


 僕は同じ轍を二度踏まない人間……になれればいいなと思っている人間なので、ミスを予防できるのであれば注意は欠かさない。あくまでも覚えていればという話だが……。


 そして遅刻せずに光の神様と森の女神様と合流に成功。


 今日の朝食はアメリカンスタイルのハンバーガー……は僕だけで、光の神様方は上品に軽食とサラダとフルーツを中心とした朝食。


 そんな中で、僕は肉厚のパティ二枚にたっぷりとチーズのかかったチーズバーガー&ポテトというわんぱくなメニューを注文。


 僕も最初は女神様方と同じく上品なメニューで纏めようと思っていたのだが、肉厚のパティを思いだすと我慢できなかった。


 でも、女神様方からはよく食べて偉いですね、と褒められたので結果オーライ。子供に向けるような視線だった気がしないでもないが、たぶん勘違いだと思うことにしている。


 休暇中ということでのんびりと朝食を楽しみながら、今日の予定を話し合う。


 美食神様は当然料理。


 休暇とはいったい? と思わなくもないが、地球の技術や食材で地球のメニューを料理する行為は美食神様にとって下手なレジャー施設よりも楽しいようなので問題はない。


「光の神様と森の女神様はどうされますか?」


 お二方のリクエストには全力で応える所存なので、なんでも言ってほしい。


「そうですね……やりたいことや興味があることは沢山あるのですが……無駄な時間を過ごしてみたいです」


「?」


 光の神様のお言葉なら全てを理解したい気持ちでいっぱいなのだが、残念なことに僕のあまり性能が良くない思考回路では理解できない言葉が飛んできてしまった。


「ああ、そうですね、光の神にはそんな時間が必要かもしれませんね」


 僕が混乱している間に、森の女神様が同意するような言葉を発する。美食神様も頷いているので、女神様方の間では理解できる内容なようだ。


「えっと、どういうことなのでしょうか?」


 女神様方には理解できていたとしても、僕が理解できないと対策が取れない。


「あ、そうです、航さんだと何がなんだか分からないですよね。簡単にですが説明しますね」


 混乱する僕に気が付いた森の女神様が説明役を買って出てくれた。とても助かる。


「航さん、なにも泣かなくても……」


 森の女神様の説明を聞いて、僕は自然と涙を流していた。


 いや、だってね、僕も大学生だったから社会の厳しさを知らないけど、それにしたって光の神様の境遇は哀れに過ぎる。


 まず、光という属性から分かるように、光の神様は創造神様に初期に生み出された存在。


 というか、神様の名前? にもルールがあるようで、光の神様、森の女神様、美食神様という名前に、なんか統一感がないと思っていたが、それなりにルールがあるようだ。


 そんな中で光の神、闇の神、火の神、など、シンプルな名前の神様は初期型ということらしい。


 まあ、名前に関するルールは置いておくとして、問題は光の神様の境遇。


 別に虐待を受けたとか、そんなシリアスな境遇ではない。ただ、初期ということはそれだけ創造神様との付き合いも長いということ。


 創造神様との長い付き合い、その言葉だけで光の神様の苦労が想像できる。


「光の神様、休んでください。無駄にボーっとして、無駄に空を見て無駄に海を見ましょう」


「航さん、落ち着いてください」


「あ、すみません」


 想像しただけなのに何故か僕が焦ってしまった。


「いいんですよ。そうですね、海や空を見ながらボーっと何をするか考えてみます。何をすればいいのか悩んで一日が終わる。それも贅沢な気がします」


 暇人の駄目な一日の過ごし方なのだが、忙し過ぎた光の神様にはピッタリだと僕も思う。


「では、私も今日はのんびり過ごすとします。航さん、図書室のスタッフに任命していただけますか?」


「図書室ですか?」


 森の女神様の予想外のお願いに僕は首を傾げる。のんびりと本を読んで過ごすというのはゆっくりするパターンの一つだが、森の女神様のイメージとは違う。


 森の女神様ならゆっくり植物と語り合う的な時間の過ごし方だと思っていた。


「はい、航さんの世界の植物や森の図鑑や本に興味があるんです」


「ああ、なるほど、分かりました」


 図書室のスタッフに任命すると、本の配置なんかも分かるし、そうすればじっくり地球の植物について学べるという訳だ。


 状況を理解して森の女神様もスタッフ任命する。


「ありがとうございます航さん」


 あ、でも、地球のエグイ環境破壊の本とか目にしてしまったら、森の女神様の休日が台無しになるんじゃないか?


 スタッフ任命する前に気が付くべきだった。畜生。


「いえ…………少し失礼します」


 三女神様方に一礼し、席から離れる。


 建物の影に隠れ、近くにいたサポラビを呼び寄せる。


「サポラビ、悪いけど図書室のスタッフをしているサポラビに、環境破壊系統の本を隠すように伝えて。急いでね」


 これは隠蔽ではない。地球の環境破壊の歴史も、後世に残すべき重要な資料であることは理解している。


 ただ、今じゃないだけ。まだまだ休暇が続くこのタイミングで知るべき内容ではないだけだ。


「失礼しました」


 サポラビにお願いした後、トイレに寄って席に戻る。


「お待たせしました。では、今日は光の神様と森の女神様はのんびりするとして、美食神様はどうされますか?」


 まあ、聞く前から答えは分かっているんだけどね。


「そうね、今日も一日料理するわね」


 ですよね。今日はそんな料理をする美食神様に全力で媚びを売るつもりだから違ったら困る。


 しかも光の神様と森の女神様はのんびりタイムなので、僕は美食神様に全力を注げる。


 今日がハッピーウイークの勝負どころかもしれない。


読んでいただきありがとうございます。

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美食神はブレねぇな……創造神のことを考えるともしかして美味しい食べ物が食べたいからって理由で生み出されてたりして?
いつも食っちゃ寝ですよ、クルーズ滞在中の日々 興味ないの寄港の日はクルーズ中あちこちお散歩の日。どこも空席ある、全体的落着の空気感。 まあ、これは航くんからはいつもの風景、でも、普通の客から、これは珍…
光の神様、ブラック企業の社長秘書ポジからの解放か ゆっくり休んでください それにしてもワタルくん調理中の人(神)に絡むのは悪手じゃない? こいつ邪魔だなとか思われそう
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