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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
二十六章
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3話 無敵なのでは?

 三女神様方を招待するためにクリス号に一人で移動した。そこで意識が解放されたサポラビから忘れていた豪華客船の可能性を教えてもらい、今後の楽しみが増えた。そして下準備を終わらせ、美食神様の為にこの世界のとらふぐを捕獲しようと海に出たら、とらふぐらしき魚を発見した。潜水艇であるエッグ号と同じくらいのサイズだったけど……。




 エッグ号と同程度の大きさだったはずの〝虎ふぐ(仮)〟が、ドンドン膨らんでいき、エッグ号の倍程度の大きさにまで巨大化してしまった。


 真ん丸でパツンパツン、針を刺せば破裂しそうだが、無機質な目がこちらを凝視していてとても怖い。


 ふぐって海水を取り込んで体を膨らませるんだっけ? たしかふぐが大きくなるのは食べられ辛くなるとか威嚇とかそういう意味合いがあったはずだ。


 つまり、バッチリ警戒されている訳ですね。


 うーん、想定外が続いてどうしたらいいか分からないぞ。諦めるか?


「いや、この巨大な虎ふぐ(仮)が食べられてなおかつおいしければ、美食神様は確実に喜んでくれるはずだ。どうにかお持ち帰りしたい」


 幸いふぐって泳ぐのが下手くそなはずだし、エッグ号でどうにか海上まで……ん? なんか体の割には小さい胸ビレと背ビレを激しく動かし始め―――。


「ふわっ!」


 警戒態勢の続きかと思っていた激しいヒレの挙動は、行動の準備段階だったらしく突如虎ふぐ(仮)が急加速してエッグ号にぶつかってくる。


 油断していたのもあるが、潜水艇はそれほど素早い動きができないので何もできずにぶつかり、虎ふぐ(仮)がピンボールのように弾き飛ばされる。


 うん、海中でも乗船拒否の効果は凄まじいな。あの攻撃が体当たりではなく水流を利用した間接的な攻撃だったら船体を激しく揺らされた可能性が高いが、体当たりなら少し揺れるくらいで余裕なようだ。


 それでも陸上や海上よりかは影響を受けやすいようで、それなりに船体が揺れる。


 おそらくとらふぐ(仮)が激しく動いたことで海水が激しく乱され、その影響がエッグ号にも伝わったのだろう。


 それにしても、あの巨体で凄まじい速度で突っ込んできたな。ふぐ系統は泳ぎが下手なはずなんだけど……やっぱり普通のふぐではなく魔物な可能性が高いのだろう。


 あと、乗船拒否の結界は侵入を拒否するだけではじき返す性能はない。つまり、ピンボールのように飛んでいったのは虎ふぐ(仮)自身の弾力……それって美味しいのでは?


 サイズに恐怖を覚えるが、ふぐのぷりぷりの身をあらわしているのであれば可能性は低くないと思う。


 でもまあ、とりあえず一時撤退、海上に向かおう。


 諦めるにせよ捕獲するにせよ今の状態だと何もできない。



「船召喚」


 海上に出てエッグ号からホワイトドルフィン号に乗り換える。

 普通サイズのふぐならエッグ号のアームで十分だと考えていたが、相手がエッグ号と同程度以上の大きさならばサイズで上回らなければどうしようもない。


 まあ、戦闘が上手な仲間が居ればサクッと処理してもらって回収できたんだけど、一人だからね。


 ちなみに僕には船内から器用に海中の魔物を仕留めるなんて技術はない。


 エッグ号を送還し、ホワイトドルフィン号で再潜航。先程の虎ふぐ(仮)が居た場所に向かうと、サイズは元に戻っていたものの虎ふぐ(仮)が海中を漂っていた。


 あんなことがあったのにこの場所に戻ってきているとなると、ここは虎ふぐ(仮)の縄張りなのかもしれない。


 ふぐが縄張りを持つ習性があるのかは知らないが、先程エッグ号に襲い掛かってきたことを考えると、少なくともこの虎ふぐ(仮)という生物には縄張りという習性が備わっていると考えた方がスッキリする。


「さて、多少乱暴な手段になっちゃうけど、ごめんね。まあ、捕獲して食べようとしているんだから今更なんだけど……」


 それに、魔物を殺しまくって素材にして売り払いまくっているくせにという思いもなくはない。


 ただ、今回僕にできる捕獲方法が乱暴なので、少し罪悪感が湧いてしまっている。


 まあ、罪悪感が湧こうとも、美食神様に喜んでいただくためなら実行するんだけどね。


「という訳で、ホワイトドルフィン号、突撃!」


 ホワイトドルフィン号を虎ふぐ(仮)よりも低い位置に潜航させ、斜め下側からぶちかましを決行する。


 お? ちょうどいい位置に当たったのか、虎ふぐ(仮)が弾き飛ばされずに船体にへばりついて……あ、弾かれた。


 このまま一気に海上まで運べれば楽だったのだが、さすがにそう上手くはいかないようだ。


 再びホワイトドルフィン号を潜航させ下側から、とらふぐ(仮)に突撃する。


「あ、大きくなり始めた。そういう習性なのかもしれないけど、こちらとしては的が大きくなってくれた方がやりやすいから助かる」


 膨らんでいく虎ふぐ(仮)の中心めがけて再突撃。今度も綺麗に中心を捉えたように見えたのだが、虎ふぐ(仮)は船体にへばりつくことなく大きく弾かれる。


 船体にへばりついてくれた方が距離が稼げるからありがたいのだけど、膨らんだことで弾力が強化されたのか、へばりつく様子はない。そのぶん弾かれる距離は伸びたかな?


 体が大きくなっているぶん、海水の抵抗も増えるからそんなに距離は変わっていない気がする。


 まあ、それなら回数を熟せばいいだけだ。


 ちなみに、一人で寂しかったので今回の戦いに作戦名を付けた。名付けて、イルカのボール遊び大作戦。


 この潜水艇の名前がホワイトドルフィン号だし、虎ふぐ(仮)もボールみたいなのでピッタリというかそのままな作戦名だと思う。


 作戦内容も作戦名どおりで、イルカがボール遊びをするように虎ふぐ(仮)を突き上げ、海面まで運んでしまおうという単純で力業な作戦。


 シンプルゆえに失敗し辛い作戦だと自負している。さて、あと何度で海上に到達できるかな?




「夕日が綺麗だ……」


 クリス号で女神様を出迎える準備をしてから探索に出た。色々と移動したから大体三時くらいに虎ふぐ(仮)を発見した。


 そこから約四時間……長ッ!


 いやー強敵だった。


 誤算という訳ではないが、相手も生物なのでこちらが突撃しても避けて素直に当たってくれない。


 ついでに虎ふぐ(仮)には弾丸のような速度で突撃する移動手段がある。当たらないし、虎ふぐ(仮)も潜るしで、海上に出るまでひたすらに時間がかかった。


 虎ふぐ(仮)は分からないが、こちらとしては惰性と意地で操船を続けた。


 その甲斐あって現在虎ふぐ(仮)は海面でぐったりした様子でプカプカ浮いている。


 精も根も尽き果てたといった様子だ。


 まあ、四時間もあの移動に不向きなフォルムで戦い続けたのだから、疲れ果てるのも無理はない。


 僕に一撃で仕留める能力があればよかったのだが、能力不足で苦しみを長引かせてしまっただけなので少し申し訳なく思う。


「虎ふぐ(仮)、乗船許可。ハイダウェイ号召喚!」


 力なく浮かぶ虎ふぐ(仮)の下に船召喚の魔法陣を設置し、ハイダウェイ号の中に取り込む。


 力なく浮かんでいた虎ふぐ(仮)もこの事態には驚き、ビチビチとウッドデッキを跳ね回る。


 やっぱりまだ動く元気があったか。迂闊に近づいて止めを刺そうとしなくて良かった。


 さすがに海中生物なので陸地にあげられると弱いらしく、しばらく待つとぐったりとウッドデッキに横たわる虎ふぐ(仮)。


 それでも怖いので虎ふぐ(仮)の手前にゴムボートを召喚し、中から安全に虎ふぐ(仮)の眉間にゴムボートのオールを叩き込んで止めを刺した。


 動きが遅いふぐを捕まえる簡単な漁だと考えていたが、思っていた以上に手間取ってしまった。早く戻って出迎えの準備を再開しないと。


 ゴムボートとハイダウェイ号を送還し、再びガレット号に乗り込みクリス号に向かう。


 


 ***




 うん、部屋の準備良し、船内の準備も良し、光の神様が好まれるアルコール類は部屋に備え付けの物だけではなく、近くの部屋に冷蔵庫にも予備として詰め込んだので、サポラビ達でもすぐに補充できるから良し。


 観葉植物の手入れも良し。各種食材と調理道具もそれぞれのゴムボートに分かりやすく収納したから良し。


 クリス号のプールに博多屋台船を召喚する実験も成功したから良し。


 その他諸々、細かい部分まで指さし確認をして、自分の準備に抜かりがないかしっかりと確かめる。


 昨晩、夜遅くまで思いつく限り準備をしただけあって、出迎えの準備はパーフェクトと言えそうだ。


 まあ、準備の指揮を執ったのが僕なので、抜けがありそうで不安なのだが、こればっかりは他人に丸投げできないので仕方がない。


 だから早朝から、サポラビを巻き込んで再度確認をしているのだが、女神様方の出迎えの為ならば、苦手意識があるサポラビを巻き込むことを躊躇しない自分が少し不思議でもある。


 まあ、テンションが上がっているだけなんだけどね。


 昨晩、準備が終わりお風呂に入ってベッドに横になった。


 そこで女神様方の来訪からの流れを脳裏に思い浮かべ、耳かきをしてもらうタイミング、光の神様とお酒を酌み交わすタイミング、森の女神様との植物談義、美食神様とのお料理談義など、楽しいイベントを思い浮かべていると、遠足前の子供のようにテンションが上がって眠れなくなってしまった。


 まあ、横になって体力は回復したはずだし、レベルアップで体力も増えているし、楽しいイベントなので一徹くらい大丈夫だろう。


 朝の九時にお出迎え予定なので、まだ三時間くらいあるな。お腹が空いたし朝食を済ませて身嗜みを整えるか。



 ***



「光の神様、森の女神様、美食神様、ようこそおいで下さいました」


 三十分前から教会でワクワクしながら待機する。


 時計の針が九時になったと同時に教会内に光の柱が立ち昇る。


 そこから現れたのは当然、待ちかねていた女神様方。


 ただ、三女神様方がいらしたとしても油断はできないので、お邪魔虫がくっついていないか素早く確認する。


 具体的に言うと創造神様とか創造神様とか創造神様とかだ。


 創造神様が一緒なだけで全ての計画が無に帰す可能性がかなり高くなるし、こういう他人が喜ぶイベントだとがんじがらめに縛られていたとしても無理矢理参加してきそうなのが創造神様なので油断できない。


 だが、僕の警戒し過ぎだったようで、三女神様方以外の姿は確認できない。


 ……つまり、幸せな一週間が始まるということで。元々ハイテンションの自覚があるが、更にテンションが上がってきた!


 今の僕ならゴブリンの集団にでさえ、一人で勝負を挑む事を躊躇わないかもしれない。


 つまり、ゴブリンに立ち向かうことすら可能と思える精神状態で、美しく優しい女神様方との接待と言う名のバカンスが始まる訳で……もしかしなくても無敵なのでは?

読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
フグよりアンコウの方が断然美味いと思うけどな 確か在庫あったでしょ? まあスッポンとアンコウは男が思うより女受けが極めて良いってこと知らないと選択肢に出ないからなぁ 流石航男女関係はレベル1だぜ!w …
ぼこぼこにしたフグとか毒が全身のどこに行ったかわからんやんw肝臓破裂とかしてたらギャグだぞw真面目に考えるような話じゃないがシンプルに思ってしまったわw
ワタルは一応それなりの弓も持ってたよね、レベルアップしているから弓で止めとか槍も初期の頃練習してそれなりには使えた筈なんだよ。 あと和船のオプションで投網とか無かったのかな? あと大型魚用の電気ショッ…
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