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スキル『ダンジョンシェルター』  作者: わたがし名人


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第48話 ダンジョン民間解放



◇ダンジョン生活18ヶ月◇



 ついにダンジョンが民間解放される日がやってきた。


 場所はロロのダンジョン。トオルたちが最下層にいるダンジョンだ。

 地上では多くの報道陣がその様子を撮影するためダンジョンの入口に集まっていた。


 そして第1陣となる探索者たちがダンジョンの中へと入っていく。中の様子は彼らが連れている撮影ドローンで全世界に中継される。


「お、入ってきたぞ」


 そんな様子をロロたちはシェルターのモニターで見守っていた。

 流れる映像はこちらで用意した撮影ドローン。改良が重ねられ、ステルス機能が搭載されているので探索者たちに気付かれることなくその様子を撮影していた。


「コツコツ進めた甲斐がありました」


「そうだね、お姉ちゃんたち頑張ったゾ」


 こうしてダンジョンが民間解放されたのにはココとノノがロロたちの配信で情報を流すようにしたおかげだ。



※※※



 配信を始めたロロたちはその後も飽きずに配信活動を続けていた。


 義務感からではなく、自分たちのやりたいことを配信で流すだけなのでそこまで苦ではなかったというのもあるだろう。


 配信内容は正直そこらのVライバーと変わらないものばかりだったが、中にはノノとココの指示によりダンジョンの情報をそれとなく混ぜていたりもした。



 多くの視聴者はそんなことに気付くことなく配信を楽しんでいるが、中にはちゃんとノノたちの意図を上手く読み取る者も存在した。そうダンジョン研究者たちだ。


 彼らは常に新しい情報に飢えており、配信を目を皿にして視聴していた。その中でとあることに気付く。


 ダンジョンに多くの人間が入ることを求めているのではないか?


 現状、ダンジョンは政府により立ち入りを制限されている。しかしダンジョンの意思はそれを快く思っていない。

 だからこうして自らダンジョンの情報をそれとなく発信しているのではないか?


 南地方のダンジョンのような気軽に入れるダンジョンをアピールしたり、アイテムやモンスターなどの情報も発信していた。


 まるでダンジョンが人類にとって有益な存在だと言わんばかりに。


 そんな意図を汲み取ったダンジョン研究者たちは政府に掛け合い、ダンジョンの民間解放の交渉を始める。


 そしてその交渉は実を結び、ダンジョンの民間解放がようやく実現することとなった。



※※※



 再び場面はダンジョンに戻る。


 今回選出された探索者は表向きは一般公募の中から選ばれた者たちとなっているが、そのほとんどは元自衛官や警察関係者などで構成されている。一部有名な武道家が含まれたりするが全くの素人はいない。


 これはダンジョン研究施設に配置した撮影ドローンから得た情報だ。誰もいないと思っているのか結構機密情報をペラペラ喋ってくれる。トオルたちの貴重な情報源の1つだ。


 ヤラセのようにも思えるが、まぁ最初はそんなものだろう。失敗してダンジョンを閉鎖されても困るので、彼らには程々の成果を出してもらいたいものだ。


 それにロロのダンジョンはそんな初心者にとって、おあつらえ向きの場所とも言えよう。


 ここは浅い階層は訓練場としてすでに利用されているし、さほどモンスターも強くない。ダンジョンの中も分かりやすいスタンダードな環境だ。



 先導の自衛官パーティに連れられ探索者たちは初めてのダンジョンを進んでいく。

 戦闘も難なくこなしていき設定していたノルマも無事クリアする。


 ダンジョンから帰還した探索者たちは多くの報道陣に囲まれ、感想を求められる。こうしてダンジョンの初アタックは成功に終わった。



 今後は引き続き探索者の公募を行なわれ、選出された人間が続々とダンジョンに入れるようになる予定だ。



 この一連のニュースは世界中は盛り上げた。


 日本に続けと各国も続々とダンジョンの民間解放を始める。世界は大ダンジョン時代に突入したのであった。




 そんな地上の盛り上がりを余所にトオルたちは変わらず普段通りに過ごしていた。


 自分たちがけしかけた割にはそこまで興味はないようだ。最初こそは全員でその様子を見守っていたが、その後はココが監視を兼ねて見ているだけだ。


 ダンジョンに入る人間が増えたといっても、ダンジョンの脅威になるのはまだ当分先の話だ。

 今先行している自衛隊でさえ、そこまで攻略が進んでいる訳でもない。


 だからといって全く警戒していない訳ではない。イレギュラーなことも起こらないとは限らない。定期的に入ってくる探索者たちのチェックはノノとココがしっかり行なっていた。



 そんな現状の中、トオルは人類とダンジョンどちらの味方と言われればダンジョンと即答で答えるほどにはもうダンジョン側にすっかり染まっていた。


 元々、元の生活にそこまで未練がないというのもあるのだが、今はロロたちと過ごす日常がかけがえのないものになっていた。


 今後人類に敵対することになったとしてもそれは仕方ないと割り切っている。そんな日が来ないことを祈ろう。


 願わくばダンジョンと人類が上手く共存できる未来を望む。




「トオル、今日はボクと遊ぶ日だぞ!早く来い」


 ロロに手を引っ張られ疑似ダンジョンに向かうトオル。


 今日も忙しい日になりそうだ。



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