第3話 神アイテム
◇ダンジョン生活7日目◇
トオルがダンジョンに落ちて1週間。
特に変わりなくシェルターでの引きこもり生活を満喫している。相変わらず地上の様子も、ダンジョンのこともわからないままだ。
でも、シェルターの中にいれば死ぬことはない。それだけで十分だ。
アイテムと交換できるポイントは1週間経過でトータル3000ポイント近くになる計算だが、今は1000ポイントも残っていない。いくつかのアイテムと交換したからだ。
あれからトオルは弁当以外のポイント交換を我慢し、1000ポイント貯まるまでは使わないようにした。
1週間の検証で分かったことは、 一定のポイント数を貯めると交換できるアイテム種類が増えたということ。
すると500ポイント、1000ポイントの区切りでアイテムの種類が増えた。この法則でいくと500ポイント単位でラインナップが追加されていくと思われる。
トオルがこの1週間で交換した主なアイテムは、
【一人暮らしのお料理セット】700ポイント
【リサイクルボックス】1000ポイント
あとはお弁当やレトルト食品といったものとポイント交換した。
【一人暮らしのお料理セット】はその名の通り、調理器具と食器のセットが一式揃ったもので、1000ポイントを超えた時点で解放されたアイテムだ。
これはレトルト食品を湯せんするために必要なので交換した。それまでは食事を支給品とお弁当で済ませていたが、いくつかの理由があってレトルト食品に切り替えた。
レトルト食品は数食分が入ったセットで60ポイント。お弁当に比べるとコスパがいい。
お弁当は手軽でいいのだが、レンジがないため温めることができない。それにポイントが割高だ。その点、湯せんできるレトルト食品は温かいご飯が食べられる。
それに調理器具があれば料理もできる。シェルターには冷蔵庫があるし、食材もアイテム交換にあった。その内自炊もやっていきたいと思っている。
そして交換したもう一つのアイテム、【リサイクルボックス】。これは今のトオルの生活においてまさに神アイテムと呼べる代物だった。
シェルター生活を続けていくうちに直面する問題があった。それはゴミの処理だ。シェルターにはゴミ箱がなかった。
いずれどこかに捨てなければならない。それはどこに?シェルターの外はダンジョンだ。
仮にダンジョンに捨てたとして何が起こるかわからない。モンスターが集まってきてしまうかもしれない。
そもそもの問題でトオルがシェルターの外に出たらシェルターが消滅してしまう。ドアから身体を出さなければいいのかもしれないが、その有効範囲がわからない。
現状ではリスクが高すぎて検証できない。
溜まっていく弁当の空の容器たち。食べ終わったゴミはビニール袋にまとめてキッチンの端に置いていた。
一応洗ってるから虫が湧くことはないと思う。そもそもシェルター内に虫が湧くのは不明だが、ゴミを溜め続けるのは気分がいいものではなかった。
1000ポイントが貯まりアイテム一覧の確認を終えると、早速ゴミ箱の項目を確認した。
詳細を確認するとゴミ箱はトオルの予想通り、ゴミは謎空間に消える仕様になっていた。
ふとゴミ箱の一覧の下にある文字に目が留まった。
【期間限定サービス】リサイクルボックス
以前にも似たようなものを見た記憶がある。あれは【初回限定サービス】だったか。
とりあえずタップして詳細を確認してみる。
説明にはこう書かれていた。
【リサイクルボックス】に不用品を入れるとポイントに変換される。
何これ。ゴミ箱の上位互換じゃん。ヤバ。
交換ポイントは1000ポイントとなっていたが、トオルは迷わず【リサイクルボックス】を即決で選んだ。
現れたのはおしゃれな見た目の箱。早速溜まっていたゴミを入れてみる。すると、
『ポイントに交換しました』
アナウンスが流れる。ポイントを確認してみると1ポイント増えていた。ゴミを処分できてポイントがもらえる。なんて神なんだ。
と、ここでふとあることを思い出す。毎日の支給品でもらえる水だ。
支給品のおにぎりはありがたく頂戴しているが、ぶっちゃけ水はいらなかった。だって水道水があるのだから。
現状はキッチンの棚下収納の肥やしになっていた。
使い道もないのでペットボトルに入った水を1本、リサイクルボックスに入れてみる。
『ポイントに交換しました』
ポイントを確認するとなんと5ポイントももらえた。確か支給品は20ポイント。
支給品は無料でもらえる。実質5ポイント得したことになる。
【リサイクルボックス】神アイテムすぎるぞ。
その後またポイントを貯め、【一人暮らしのお料理セット】とレトルト食品を手に入れ、現在に至る。
ポイントは大幅に消費したので、しばらくはまたポイント貯める日々になるだろう。
食事の準備をしようとすると、
ガチャ
シェルターのドアが突然開く。
そこにいたのは1人の少女だった。
突然の出来事に戸惑うトオル。
女の子は中に躊躇いなく入ってくる。
どうする。考えがまとまらない。
そんな中トオルが辛うじて発した言葉は、
「あ、すみません。靴脱いでもらっていいですか」
この一言だった。




