表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蓮華 ― 鬼神の血を継ぐ戦士は護るために戦う ―  作者: 釜瑪秋摩
島国の戦士

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/25

序章

 その日、森に集められた子どもたちは、誰もが「戦士に選ばれる日」だと信じていた。


 けれど――。


 ただ一人だけ、そうではなかった。


 泉のほとり。白い石畳の上に、十六を迎えた子どもたちが輪になって座っている。ざわめきは小さく、けれど消えることはない。期待と不安が、同じだけ混じっていた。


 藤川麻乃(ふじかわあさの)は、その輪のいちばん後ろで膝を抱えていた。

 なるべく目立たないように。誰にも見つからないように。

 ただ、胸の奥だけは、どうしようもなく騒がしかった。


 風が止み、ざわめきが、すっと引いた。

 輪の中心に立つ老女が、一歩、前に出る。


 一番巫女、シタラ。


 白装束に包まれたその姿は小さく、今にも崩れそうに見えるのに、誰一人として目を逸らすことができなかった。


「……始めようかのう」


 静かな響きでありながら、その一言だけで空気が変わる。


 麻乃は思わず息を飲んだ。シタラの目が、まっすぐにこちらを見ている。

 その視線に全身が冷えていく。心臓の音だけが、やけに大きく響いていた。

 この日、誰が選ばれるのか。


(あたしは――)


 護りの三日月か。


(それとも――)


 蓮華(れんげ)か。


 次々に呼ばれる名前。洗礼の儀式を終えた子どもたちの、歓喜の声、安堵の声、悲嘆の声。顔を伏せてそれを聞きながら、自分の番を待つ。


「藤川麻乃」


「――はい」


 シタラの呼ぶ声に、麻乃は立ち上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ