動物病院にて
「おい、マイン・・・こっち向いてみ」
はーい!
・・・などと素直に人の言うことを聞くようなヤツは
日 本 イ シ ガ メ に非ず!
クリンと体ごと向きを変えてユラユラお散歩。
執拗にボクを視姦するんじゃない!
しつこいからお部屋に入って休憩。
パカッと小鉢が持ち上げられボクは甲羅を掴まれた。
いつもと違うニンゲンの動きにボクの警戒アラートが鳴り響く。
“全隔壁閉鎖!”
手足を引っ込めて尻尾もピタッと足に沿わせてボクの完全防御体制。準備完了!
「おーいマイン、
ちょっと首の付け根の横を見せてくれないか?」
ニンゲンがなにやら叫んでるけど知ーらない。
・・・
・・・
・・・
もうどっか行っただろ?
ソロっと首を出す。
まだいた!
ストーカーぽい目でボクを見るのはいつもの事だし。
垂直に立てて掴まれてるのはなんかイヤ。
そんな時は首をフルに伸ばしてぐりっと回し同時に手足もグリグリ回す。
ひっくり返った時の回復動作とおんなじ。
これも仕様だから。
「あっ、やっぱりなにかできてる。」
何が?え?見えないよー!
「お医者さんに行こう!」
なんかよくわからないけど・・・ぃやーの!
いつものお出かけケースに揺られて30分。
ここは動物病院。
受付のお姉さんが尋ねる。
「あらら~さんは初めてですか?」
「いえ、この子の母ちゃんが診察受けてます。」
「診察券は一家に一枚なんです。
検索しますね~ あ、ありました!
“すえぶち”ちゃん。ですね?」
へー・・母ちゃんは母ちゃんって名前だと思ってた。
そりゃ名前はあるよね。
「今日の子は?」
「マインです。」
「マインちゃん、飼われ二週間・・・」
いや、生まれて二週間なんだけど?
「どうされました?
首にデキモノが・・診察4人待ちですが、大丈夫ですか?」
プラケース越しに見るとずらっとヒトが待っている。
足元や膝の上にケージを抱えてるヒトが多い。
イヌのキュウキュウって切ない鳴き声が聞こえてきたりする。
あんまり居心地よくないなぁ・・・
待つこと30分。
センセイ登場!
「えーっと、日本イシガメのマインちゃん。
生まれて二週間。首にデキモノですか・・・」
そういうとボクをヒョイと持ち上げて
首をぐにっと弄くる。イヤーン!
「見せてくれないとなんとも言えませんねぇ…」
いや、だからって首を引っ張らないでよ!
「ちょっと写りが悪いですが、こんな感じ。」
ニンゲンがスマホの写真を見せてセンセイに説明するがピンとこないようだ。
「状態を見ないと何とも・・・」
ボクを板の上に置いてジッと見てる。
なんか嫌!隠れられそうなところ・・・ない!
そんな時は前進!だって仕様だから。
てくてく歩き出すとセンセイの手が行くてを遮る。
そして元の位置に戻された。
じゃあ左に行ってみよう。
また戻された。
「うーん…首を伸ばしてくれませんね。
まぁ、腫瘍ではないです。二週間でそんなに大きくなることはないですから。」
現状、なにか不都合があるかというと特にないし食欲もある。
清潔な環境にしてあげてください。だって。
「まあ、何か出来るかというとないからなぁ。
以前にウチにいた子はカゼひいて2日に一回注射打ってもらったんだぜ。それが二週間続いて。
それから1カ月くらい俺の顔見ると飛んで逃げてた。
よっぽど怖かったんだな。
マイン、お前もそうなるかもよ~」
ひぇーそれは勘弁してほしいな。
あっウンチ漏らしちゃった・・・
まあ、これも仕様なんだけど。




