↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
叩けば直る、そんな能力  作者: ちぐい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/9

9話 決戦?火の玉男

私立夜武鬼高校では、創立以来初めてのことが起こっていた。


「おーい、まだやるかい?」


ボボッ


火の玉を発射する男と、それを飛んだり伏せたりして避けながら逃げる男。


「ふざけんな!男ならステゴロで勝負しろ!」


「さっきパイプ椅子で殴った奴は誰だっけ?」


「...くっそー」


その2人が校舎を破壊しながら縦横無尽に駆け回っていた。


逃げ回りながら堀口の能力を観察していて、わかったことがいくつかある。

1つは火の玉が一度に2つしか出せないこと。


ボボッ


他には一度出すと5秒ほどクールタイムが必要なこと。

俺は急に踵を返して堀口に飛び込む。

逃げ回るだけだと思っていた堀口は驚いた顔をしながらも、俺に向かって拳を突き出してきた。

これなら俺の方が先に届ーーー


ボッ


「グブッ!?」


堀口の膝から火が出て拳が加速し、思いっきり顔をもらってしまった。

スピードを出していたせいで、カウンターのように威力の高い攻撃を受け目の前が白くチカチカ光る。


「驚いた、お前逃げながら観察してやがったな?」


「...ぺっ、隠し技とか卑怯だろ」


「使わずに済むレベルだと思ってただけだ」


まだ頭が揺れているが、相手に必要以上に弱味を見せないために立ち上がる。


「おぉ、立つのか。じゃあ続行、だな!」


堀口の後ろで爆発が起きる。逆噴射のように一瞬で距離を詰められ、顔目掛けて殴ってくる。


「ぐっ」


「やっぱり反応いいな」


咄嗟に堀口の手を取ろうとすると、また逆噴射の容量で手が止まり、空を切る。


ボッ


「この距離なら避けれないか」


「ぐああああっ」


ゼロ距離で火の玉を発生させて、腹に撃ち込まれる。

肌が焼ける熱さと、内臓が潰れそうな衝撃で意識が飛びかかる。


吹っ飛ばされて、奴との距離は取れるが状況は絶望的だな。


「ぐ...」


「おーい!生きてるかー?やっぱE組の無能だとこの程度かー?」


「大丈夫かね!?鏑くん!」


部長が駆け寄ってくる。


「大変だ...大怪我じゃないか!君がここまで苦戦するのは珍しいな」


「部長ー、お腹痛いんで帰っていいですか?」


「ふむ、まだいけそうだね。しかしその体どれだけ頑丈なんだ」


結構限界近いんですけど、耐えられなくもないけど、あいつの火をどうにかしないと防戦一方でいつかは死ぬ。


「...この鬼」


「まあまあ、特警には通報したから、あと数分の辛抱だ。あとこれ、頼まれてたもの」


「...ナイスです部長、これならもう少し耐えられそうです」


部長から赤い筒を受け取り立ち上がる。はー、明日学校休もう。


「ん?作戦会議は終わりか?もうちょっとやっててもいいぞ」


「舐め腐りやがって、制服に穴もあけやがってクソ野郎。家族にいじめられてるって勘違いされるだろ」


「ははは、まじで負けん気だけはすごいなお前。まあ今の状況から、いじめってのは間違ってないんじゃないか?ほら行くぞ」


ボッ


また火の玉を飛ばしてきた。俺は特に避けず、目の前まで火の玉が来るのを待っていた。


プシュー


「は?」


「消火活動じゃこらああああああ!!」


消火器を掲げて、相手に向かっていく。目の前で火を消されたことに焦った堀口は、反応が遅れ俺の接近を許した。


「く、まあでも火の玉以外はーーー」


プシュー


「う、げほっテメ何すんだ!!」


「うるせえ能力者!ハズレ能力の恨みを味わえ!」


ガスンッ


「ガハッ!?」


堀口の全身に消火器を吹き、火が出ないのを確認してからそのまま消火器を奴の顔に振り上げた。


「ぐふっ....ぺっ、あー歯がグラグラする。てめぇマジで殺す」


完全に頭に来ている様子の堀口だが、いきなり飛びかかっては来ない。何かポッケから取り出し、口に含んだ。


なんだ?


ボオオオオオオオ


突如火柱が立ち上がり、教室の天井まで火が昇っていた。いや、威力変わりすぎだろ。


「お前、何をした?」


「能力を上げる薬を飲んだんだよ。お前相手に使うなんて、屈辱だぜ」


平然と言っているが、能力を上げる薬の使用は重罪だ。というよりそんな薬を手に入れることがまず無理だ。なのにーーー


ボパンッ


「!?」


目で追えない速度の火の玉が出され、直感で消火器を持ち上げると、消火器を貫通して体に当たり吹っ飛ばされた。


「...ガハッ」


ギリギリ消火器のおかげで火の威力が減らされて、気を失わずにすんだ。

勝ち目が完全に無くなったと悟り、あとは時間を稼ぐためだけに動くしかない。


「...ぶちょ、ゲホッ...逃げろ」


「鏑くん、それはできないよ。部長として、ここは私が先に時間を稼ごう」


部長が俺の前に立ち、堀口と向かい合う。足は震え、熱さなのか恐怖なのかわからない汗をかいていた。


「もうお前らじゃ俺は止められない。鏑なんて立ち上がれもしないだろ?」


なんとか俺が敵の注目を浴びよう。


「ブフゥッ...」


「何してるんだ鏑くん!死ぬぞ!?」


全身が軋み、口から血を溢しながら立ち上がる。

立ち上がったはいいが、一歩も歩けそうにないな。


「...ほ、ほら。立ち上がったぞ堀口?案外、た、大したことねえな?」


「お前なかなか根性あるよほんと、殺すけど」


ボパンッ


もう碌に見えてないから、タイミングとかを無視して火の玉を殴ろうとする。


ーーー


すると、突如火の玉が消え空振った俺は転んでしまう。なぜ堀口は途中で火を消したんだ?


堀口を見ると、彼も驚いた顔をしていた。


「お、お前!今何をしたんだ!!!」


「は?お前が自分で消したんだろ?」


「俺が消すかよ!本気でお前を殺すつもりで撃ったんだ!」




「はーい、そこまでー」


今起きたことにお互い困惑していると、この場にいなかった男の声が教室に響き渡る。


ブゥン


「ガハッ!?」


突然堀口は教室の壁に叩きつけられた。

反撃として火の玉を大量に放つ。威力だけでなく、数の制限も向上しているのか。


「あ?お前、おまわりさんに向かって撃ちやがったな?」


ブゥゥゥゥゥウンッ


「があああああ!?」


新しい来訪者の周りに黒い渦が現れ、堀口の火の玉だけでなく、彼の周りにあった炎まで吸い込んだ。


「おまわりさんを舐める奴め、反省しろ」


ブゥン


おまわりさんは、手に黒い渦を纏い堀口を引き寄せる。


ドパンッ


飛んできた堀口に対して、上から叩きつけるように殴り、彼を文字通り床に沈める。


床にめり込んだ堀口は白目を剥いていた。どうやら気を失ったようだ。死んでないよね?


「ふぅー、これにて制圧完了しました」


ぶっ飛ばした張本人は、何もなかったかのように淡々と敬礼しながら振り返ってきた。...てか


「あ、兄貴?」


「む?スマク、お前ここで何してんだ?」


おまわりさんは僕のお兄ちゃんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。