22
どうにかして、地獄の2時間を乗り切った。
なんだか、すごく疲れた。後半寝てして過ごした。エドウィンに寄りかかりながら、寝てたためか、エドウィンの顔色が悪い。
(エドウィンも眠たかったかな……)
ちょっと悪い事したかな?って思って謝りに行くと、
「謝るとこは、そこじゃない!!」
と慌てて否定されてしまった。
はて……私は何を謝ればいいだろう……
領地へ一歩踏み入れると、そよそよと植物がシルリアを迎えてくれる。綺麗な空気で心が癒される。
「領民が不満を抱えてないか、あちこち聞き込みをしましょう。」
できれば今日一日で視察を終わらしたい私は、これでもかってくらいスケジュールを詰めてきた。
商店街での聞き込み、孤児院や教会にも行って様子をみる。領地の中心街は冒険者ギルドや商業ギルドもあるためそっちにも行きたい。
エドウィンには無謀だととめられ、リリーは勝手に別荘に泊まる算段をたてている。
確かに広大な領地だし、寄りたい所も沢山あるけど、一刻でも早くお父様に会いたい。効率的にいけばできるはず………
ぎゅるるるるる
私のお腹がなる。
「な?予定通りいかないだろ……?まずは腹ごしらえからだ」
エドウィンが呆れた様に頭をポンポンっとたたく。
「が、我慢するわよ!!!まずは領地の周辺から見て回る予定ですし……」
「いや、腹ごしらえが先だ。成長期のお子様に食事を我慢させられるか。そもそも今日は俺たちだけじゃなくてお客様もいるんだぞ。」
諭されるように、エドウィンが私にいう。
中身がどんなに大人びていても、身体は12歳の子供だ。子供だと思われていることが腹だたしい。
「で……でも!王子殿下は邪魔はしないっていったわ!!」
「シルリア。ちょっと頭を切り替えよう。今時間はちょうどお昼時だ。領民達も腹ごしらえでお昼ご飯を食べている可能性が高い。今から飲食店へ行けば、効率よく情報収集できるかもしれない。」
エドウィンが私に目線を合わせて説得してくる。
確かに一理あるかもしれない……
そんな事を考えていると、目の前にニュッと影が出てきた。バッと前をみると、私とエドウィンの間に無理矢理入って立ち塞がっている。
「ただの護衛のクセに、距離が近くないか?」
殿下の周りからはどす黒いオーラがでている。後ろ向きで顔は見えないが、見えなくて良かったかもしてらい。多分すごい怖い顔をしてる……
「……ひぇ……」
エドウィンの顔が引きつる。
殿下はくるっと向きをかえて、私の手を握り
「シル。浮気はだめだよ。」
爽やかな笑顔で私を見つめた。
今この状況での笑顔は怖すぎる……