21.視察にいこう!
緊急性の高い用事……
(会社で早退とか有給を使う……といえば体調不良だけど……]
私が仮病を使って体調崩したところで、お父様が仕事を投げ出して帰ってくる事は考えにくい……
「お嬢様。領地へ視察に行かれてはいかがでしょうか??」
「領地へ……?」
エドウィンがハッとする。
「……っ!そっか!領地で何か問題が発生していれば、場合によっては緊急性の高い用事になりえる!」
暗闇に一筋の光が見えた。
(まぁ、1番は領地に何も問題がないのが1番なんだけど……領民の不幸を求めるの、なんか罪悪感あるしね……)
「そうね……じゃあ明日早速領地に行ってみましょう!」
(もし何もなければ、またその時考えればいいわ)
―――――――――――――
晴天の朝。絶好の視察日和だ。
領地まで馬車で2時間程度。そこまで遠くはないが、近くもない。せっかくなので移動時間も有効活用しようと思い、本を数冊持っていく事にした。視察で些細な問題にも気づけるようにするためだ。
エドウィンには
「真面目だねぇー」
と揶揄われたりもした。
そんなこんなしてたため、出発が予定よりも遅れてしまった。そのせいか………
カラカラカラカラ
馬車の中でなんとも言えない沈黙が流れる。
目の前に昨日来たばかりの殿下が、張り付いた様な笑顔で私をガン見している。
(なんで昨日の今日でまた来るのよ!?!?)
今日は視察だから忙しいと断ったのだから、強引についてきた。彼曰く、自分なら色んな事に気づくことができる。とのこと。
(王子殿下って暇なのかしら……)
「ねぇ、シル。昨日まではいなかったこの男は誰かな……?」
「申し訳ございません。自己紹介が遅くなりましたが……」
「うん。僕はシルに聞いてるの。君は黙って。」
ピシャっとエドウィンの自己紹介を遮る。
(えぇ…自分で誰か聞いてて、遮るって……)
私は軽く呆れてしまった。
「うわぁ……シルリアが俺の隣がいいって駄々こねたから、めっちゃ面倒くさいことなってるじゃないっすか……えぇ…俺バリバリ警戒心むき出しにされてるんっすけど、どうしたらいっすか?」
エドウィンが私にヒソヒソと話しかける。
ドカン!!
「ひぇ……あぶな……」
エドウィンの隣に音を立てて足を置くアルド王子殿下。
「……近すぎるんじゃないかな……?」
アルド殿下の声が、聞いた事のないほど低い。
馬車の中の気温もグッと下がり、綺麗なアクアブルーの瞳はどす黒く濁りつつある。
(距離感バグってたのは、お前だろ!!)
シルリアは心の中でツッコミを入れる。
あと2時間……この地獄の馬車を乗り切らなければならない。もはや勉強どころではない。
(どうにかして、殿下にお帰りいただくよう説得しないと!!)




