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辺境伯令嬢は内政チートで世界を変える ~そして聖女は大陸を笑顔で包み込む~  作者: 赤井咏紗
第二部 聖女レティシアと世界樹の試練
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第二部・第十三話(第38話) 辺境伯領の新たな芽――改革の始まり

 私が辺境伯領に戻ると、村人たちが駆け寄ってきた。

 「お帰りなさいませ、聖女様!」

 「世界樹を救ったと聞きました!」


 ……ああ、もう完全に「聖女」って看板が外れなくなってる。

 ――俺、中身はただの社畜おっさんなんだけどな。


 だが彼らの瞳は真剣で、期待に満ちていた。

 だからこそ、私は胸を張った。

 「私の帰還は、皆さんに新しい恵みを届けるためです」





 私は村の広場で袋を開けた。

 中には不思議な種と、淡く光る小さな精霊たち。


 「これは、エルフの森からの贈り物。

  この土地に新しい実りをもたらしてくれるでしょう」


 精霊たちは嬉しそうに飛び回り、土や水を撫でる。

 村人たちは口をあんぐりと開けた。

 「……光ってるぞ……!」

 「まるで神話の奇跡だ……」


 ――うん、俺的にはハイテク農業のイメージなんだけどな。





 私は農地に出向き、作業着に袖を通した。

 「さあ、始めましょう!」


 ・新しい畝の作り方(排水を考慮した畑設計)

 ・堆肥の管理(温度を測り、腐敗ではなく発酵を促す)

 ・種の植え方(等間隔で間引き、光が均等に当たるように)


 前世で得た知識を総動員し、精霊たちに手伝ってもらいながら整備を進める。


 「こんな細かいこと、本当に意味があるのか?」村人が首を傾げる。

 「信じてください。必ず結果が出ます」私は自信を込めて言った。


 ――俺だって賭けてるんだ。数字じゃなく、命を育てる営みに。





 数週間が過ぎ、芽が出始めた。

 緑の若葉は力強く、夜には精霊の光がそっと寄り添う。


 村人たちの間にも期待が膨らむ一方で、不安も募っていった。

 「これだけ手間をかけて、収穫できなかったら……」

 「食料が足りなくなったら、冬は越せない……」


 その視線を受け、私は強く頷いた。

 「必ず結果を出します。私を信じて」


 心の中では汗だくだった。

 ――マジで失敗できないぞ、これ。





 そして迎えた収穫の季節。

 畑に広がる作物は――これまで見たことがないほど大きく、瑞々しく育っていた。


 村人たちは息を呑み、私の方を見つめた。


 「……さあ、刈り取りましょう!」


 次の瞬間、村全体が歓声に包まれることになる――。

次回予告


第二部・第十四話(第39話)

「豊穣の奇跡――聖女の収穫祭」


実りの時が来た。エルフの贈り物と前世の知識が融合し、かつてない収穫が辺境伯領を満たす。

だが、その繁栄の光景は新たな注目と陰謀を呼ぶのだった……。

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