お説教カーニバル
「さて、雪城さん、飯田ちゃん、真面目にお話をしましょう……」
「はい……」
「えっ? な、何で、わ、私、正座させられてるの? 邪悪なる鎖でも縛れない私の存在がまさかの聖なる発芽を前にして無力だというの? いえ、そんなはずわないわ! どんなに聖なる鎖も――」
「飯田ちゃん、うるさい」
「……はい」
立ち上がった芽衣さんだが、素直に正座をし直す。な、なんかすんません……巻き込んだみたいになった……うん? でも、芽以さんもあかりちゃんも俺が呼んだわけではなく、勝手に来たわけだ。
それなら理不尽に怒られるのは人間の尊厳を犯した非人道的な行為なのではないか? それは間違っている! 間違っていることだ!
どうどうと胸を張って言えばいいんだ。俺は間違ってないと――。
「俺は――間違ってない!!」
「腹立つので寝言は寝て言ってもらっていいですか? 落とし前付けますよ?」
「……はい」
こわっ……。
ドスが利いて、笑顔に中に黒く濁ったものがある気がする……。
えっ? こ、この人普通の居酒屋勤めのお姉さんだよな……俺がいままで会ってきた人の中でもトップクラスにおっかないんだけど……。
「それで、雪城さん、どういうことなんですか? 2人も可愛い子を侍らせているんですか? 仁義に反したことをしたのですか?」
「……い、いや、仁義って、別に……」
「うぅ、お姉ちゃんは雪城さんをそんな子に育てた覚えはないのに……うぅ、何で、こうなってしまったんでしょうか」
「えっと、別に俺はあかりちゃんに育てられた覚えなんて……そもそも、あかりちゃんと出会ったのは去年で……」
「雪城さん、少し黙って貰えますか?」
「はい……」
言いたいこともいないこんな世の中なんて……ぽいずん。
そして、この凍り付くような空気の中、芽以さんは何故か得意げに胸を張る。な、なんでこの場面で得意げにできるかは謎だ……言っちゃ悪いがこの人も頭が相当残念なのではないだろうか……
「ふん、この男は私の大切なものを奪って行ったわ。私はこの男に心を強奪されたの。それはまさに心のレイプよ!!!」
「…………雪城さん?」
「待って、待って、待って!? えっ? えっ? な、何? 人聞きが悪すぎる!」
「…………雪城さん? 合意なく襲ったの? ふふふっ、エンコものだよ? けじめつける?」
恐い恐い恐い恐い!!
えっ? どういうこと?
「雪城翔! ふふん、この女に言ってやりなさい! 私の心を犯した永遠のストーリーを!」
「ふふふふふふっ、雪城さん?」
「いやそんなの……僕にも覚えがありません……」
と、とにかく事情を説明しよう。もう、言訳とかごまかしとか一切なしに説明しよう。この人だけは誤解させたままだと……俺の心が壊れそう……。




