中華大国
数日後の休日の昼間――。
芽衣はこの日、独学で勉強してきた料理の腕前を見せる気でいた。あれから、あらゆる中華の料理動画や本を見て、勉強し、実践もして、腕を開けた。
そのおかげで社長と芽以のご飯は3食中華になっているが……それはまた別の話だろう。
「はぁぁ、翔さん、喜んでくれるといいけど……ま、まあ、大丈夫。ネットの知恵袋で相談したら『女子校生がご飯を持っていけば深夜の3時に持って来られても怒らない!』って書いてあったし……」
自分に厳しい芽衣としては正直まだ、翔に出せるレベルではない……もう少しじっくり練習を重ねて、それこそ高級店並みの実力をつけるつもりだったが……簡単に言うと我慢ができなかった。翔に早く手料理を振舞いたかった。
(ま、まあ、今回はあくまでファーストブレイクエクスプロージョンよ。あくまでこれは伏線……このあと、神すら超える次元進化をして翔さんを驚かせるんだから)
緊張した面持ちで家のチャイムを鳴らす。
一応、今日来ることは伝えてある……昨日電話で……。
『あ、明日、翔さんの家に行ってもいい!? い、いいわよね!』
『えっ? あ~11時ぐらいならいいけど、明日は――』
『いいの!? ふ、ふん! ならドラゴンを討伐する剣を装備してジャイアントキリングするから、待ってなさい!』
『あっ……っちょっと』
という会話が繰り広げられた。
(冷静に考えたら強引過ぎだったかしら……うぅ、またやっちゃったった私? はぁぁぁぁぁぁ……勝手に料理を作ってきて迷惑だよね?)
料理を持ってくることはあえて言ってない。サプライズにした方がよろこんでくるかなっ?……と、甘い考えを抱いていたからだ。
「…………」
(ま、まあ、いらないって言われたら、お料理は持って帰ればいいし……だ、大丈夫よね? うぅ、やっぱ昨日電話した時に言えばよかったかな? う、ううん、こんなことで怯えていたらあの女には勝てないわ! ここは自信満々、竜の極みを纏う覚悟で行くのよ)
『ピーンポーン』
芽衣は意を決してチャイムを鳴らす。
心臓の鼓動が自分でわかるくらいバクバク言っているのがわかる。せっかくお洒落をしてきたのに、うっすら汗もかいてきた。
(お、落ち着きなさい……冷静に冷静に。ただ料理を食べてもらうだけなんだから、大したことはないわ。冷静に冷静にただの一辺の油断もなく、刺すように……)
と、心の中で意味のわからない呪文を呟く。
……芽以は一点失念していた。 第三の勢力の存在を……
『はーい! 今開けまーす。』
(うん? あの女の声じゃない?)
扉が開かれるとそこには可愛くも大人の雰囲気を持つエプロン姿のあかりがそこにいた。
「わあああ、貴女が飯田ちゃん? わああ、可愛いい!」
「…………」
あまりの出来事に思考が停止する。
三矢がで迎えるのなら、正直嫌だが……そういうこともあるだろう。
だが、ここで他の女が出てくるとは微塵も考えていなかったので、思考がなかなか再起動しない。
そんなか、あかりは芽以が緊張していると考えたのか、優しくほほ笑む。
「私は雪城君のお姉ちゃんのあかりです♪ よろしくね」
(お、お姉ちゃん? でも翔君のことを雪城って呼ぶの? うん????????)
芽衣の思考は中々普通には戻らなかった……




