LEVEL c
【2034/05/10 04:43】
昨日はあの後、急に携帯の電源が切れて
書き込めなくなってしまった。充電はた
っぷりあったはずなのに。電源が切れて
モタモタしている間に、男を見失ってし
まった。やはり逃げ足が速い。気付かれ
ている感じはしなかったが、警戒してい
ただろう。でも何にも気にしていない様
子だった。自分の習性がまるで周囲に認
知されているみたいに。それにしても足
が速い。もうすぐ男が出てくる時間だ。
【2034/05/10 05:04】
街で男に会ってしまったことで、更に男
が頭に纏まりついてきた。今日も庭から
男は出てきたけど、出てきたのが窓の近
く過ぎて驚いた。もう隠れるしかなかっ
た。そっと窓から顔を出して覗いてみる
と、男はいつものルートを辿って、森に
消えていった。今日もまた男のことを追
っていくことにした。すぐに姿を捉えて
何とか追い続けた。男が振り返らないこ
とを知り、ズカズカと攻めていった。
【2034/05/10 05:13】
ここの森は草木が生い茂る険しさ溢れる
場所だ。枝や葉に肌を撫でられながら進
み、ついに行く場所を突き止めた。そこ
には大きな屋敷があり、豪華という印象
が強かった。男には似合わないお洒落な
外観。男がドアをノックすると女性が出
てきた。男は女性にすぐに抱きついた。
男は愛する片想いらしき女性のもとへ行
っていたのだ。男の性格はほとんど分か
らないが、変な人というのは確定だ。
【2034/05/10 05:16】
男は普通に人生を楽しんでいた。普通の
一般的な男性のように恋をして、時折楽
しそうな顔をして。あれは彼女という訳
ではなく片想いだと、見ただけで分かっ
た。あんな光景を見てしまったら、ズカ
ズカと踏み入ることはどうしても出来な
い。彼女のこともあって邪魔は出来なか
った。でも、諦めることも出来なかった
。絶対に男のことを必要以上に深く知っ
ていきたい。それはずっと変わらずだ。
【2034/05/10 12:16】
私は何か呪われてしまったのだろうか。
携帯が何度も何度も壊れたりしてしまっ
ている。さっきまで壊れていたところだ
。男のことに触れるまでは、一切なんと
もなかった。でも最近はまるで男が念力
を送っているみたいに、パッと壊れたり
復旧したりする。携帯は命にも似た大切
な存在だが、男への探求心というものは
、それをも凌ぐ存在に来ている。また、
今も周りでパチパチッと謎音が鳴った。
【2034/05/10 18:22】
考えすぎてしまう。毎回どうやって地中
に行くのかとか。色々なことを考えてし
まう。生まれ変わるとは考えにくいから
地中に家があるとしか考えられない。そ
れにしては出てきた跡が少しあるだけ。
地中に入っていった形跡は全くない。不
思議な力とかエスパー的な力を考えてし
まっている私がいた。私の家と何らかの
関係があるエスパー的な人、という暫定
的な考えしか今はない。迷宮入りか。
【2034/05/10 23:36】
死んでは生き返る死んでは生き返るの繰
り返しということもあるかもしれない。
もしかしたら顔が同じだけで、今まで見
た人たちはみんな違う人かもしれない。
セミというような昆虫の種類みたいに、
男という種類の生き物かもしれない。あ
の顔をした生き物として、あちらこちら
にいるのかもしれない。色々考えてる間
に頭が痛くなってきた。まさにセミが頭
のなかで鳴っているような感覚だった。