LEVEL b
【2034/05/09 05:09】
何回も土から男が出てくるのをこの目で
確認した。私の家の広い庭から、毎回出
てくるのは確かみたいだ。今日も庭から
あの男が出てきた。ゆっくり出てきたの
はついさっきのことだ。場所は前とは違
う左の端の方で、出てくる場所は様々だ
と分かった。この謎について、まだおじ
いちゃんには聞いていないけど、自力で
ある程度探るのもいいかもしれない。そ
の方が楽しみや実感が湧いてくるから。
【2034/05/09 05:13】
出てきた後は、毎回山奥へ消えてゆく模
様。山の向こうに消えていったが、どこ
に向かったのかは謎である。謎が脳みそ
の大部分を占拠している。何をしていて
も、常にあの男の謎に支配されている。
あの男の行き先や正体、こうなった理由
など、色々と突き止めない限り、授業で
の集中はない。この謎が解けない限り、
安息の文字は浮かび上がって来ないだろ
う。もう、追って行くしかないんだ。
【2034/05/09 05:27】
意を決して跡をつけてみることにした。
今はもう消えてしまったあとだから、明
日改めて準備して追跡する。明日行かな
いと、一生決心がつかない気がするから
。将来のことよりも、今はあの男のこと
を優先するしかない。どんな娯楽や玩具
よりも、面白さがあるのかもと考えてし
まっていた。追跡のことでもう、ムズム
ズが止まらない。明日は追跡しながら、
随時状況を書いていこうかなと思う。
【2034/05/09 05:46】
今、私の興味は止まらない域にまで達し
ている。男が朝、出てきた穴。それに何
かしらのヒントが隠れている可能性はあ
る。だから、出てきたあとの綺麗に埋め
られている穴を今から覗くことにする。
埋められたものを掘り返すこと以上に、
背徳感を抱くものはない。穴以上に怖い
ものはない。そう感じてしまっていた私
には、少し気が引けた。でも、興味は天
の上に抜けるくらいまで高まっていた。
【2034/05/09 09:58】
男の出てきた土のなかを覗けば、男や男
以外の何かが穴から覗いてこない保証は
ない。でも、勇気を持つしかないと感じ
た。掘ってみたけど、何も変わったこと
はなかった。探ることに対しては、あま
り緊張しないと思っていたけど、もうか
なりした。スッキリするには追い掛けな
い選択は絶対にない。これを書きながら
明日は追跡だ。なんかスゴくワクワクす
る。今の授業は集中できずに退屈だ。
【2034/05/09 10:43】
授業は、男のことも他のことも曖昧なも
のへと変えてゆき、頭のなかをグチャグ
チャにする。はやくこんな生活から抜け
出したい。でも、この状況を楽しんでい
る面も少なからずある。授業に何かあの
男に関するヒントが隠れていれば集中で
きるのに。ドラマみたいに、何気ない会
話や行動のなかにヒントが隠れている、
みたいなことは無いかなと思った。あの
日の朝、外なんか見なければよかった。
【2034/05/09 18:32】
明るいうちから逃げていった辺りを下見
して、シミュレーションするしかないな
。そう思って早速、帰り道にしてみた。
シミュレーションをしてみると、今まで
分からなかった小屋や洞穴など、怪しい
場所がわんさか見つかった。明日はこれ
に書き込みながら追跡だ。あっ、まだ夕
方なのにあの男らしき人がいた。森では
なく街の付近だが、何をしているんだろ
う。今はこれを書きながら追跡しよう。




