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巨人の黄昏  作者: RAMネコ
8/10

7機目『サーピア』

 ロボットというのは、必ずしも二足ではない。動物に四足や六足、八足がいるように様々なのだ。

 当然、足がないように見えるものもあった。


──サーピア。


 ラミア型の、蛇の下半身をもつロボットだ。

 ハーリンテン少年の頭の中の知識では、ソルブルク大帝国とスカリハ女王国の共同開発と記憶していた。


「おうおうおう! アンタが、アタイらへの慰め品か!?」


 少年は、サーピアの操演者であろうスカリハ兵にからまれていた。物理的な意味も含めてだ。スカリハは、ラミアの国なのだ。

 蛇身が少年の体に巻きついている。


「違います」

「えぇ……味見くらい……」

「駄目です」

「ブーブー!」


 少年の現状は、一言で表せば、大蛇に捕まった子牛だ。

 少年は心を殺した。

 無抵抗となった。

 痛いのは一瞬で、すぐに終わるだろうと。

 天井の染みのかわりに考えたのは、サーピア。

 女王国のサーピアは、ラミアに似ている。ロボットが作った種族の外見に似るのは、珍しくはない普通のことだった。

 ただ少年は蛇が好きくなかった。

 ラミアの下半分は蛇であり、サーピアの下半身もまた蛇だ。

 スカリハ兵の蛇身が少年の半分を絞りあげているが、サーピアも同じことができる。

 女王国の半分は砂漠だが、半分は沼地だ。沼地にはサーピアが十機集まっても囲めない樹が密集している。両手を広げても届かない、太い幹。

 そんな大樹をサーピアは『登る』のだが、手ではない、蛇身でだ。

 長い尾を巻きつけるのだ。

 樹の上は、サーピアの基本だ。樹上から、下界の大型生物を『硬種体射出装置』で狩り仕留める。硬種体射出装置は、女王国の輸出商品である樹を加工した射出装置だ。

 黒火教の火の薬や雷の塔の光電体、つまり火薬銃や電気銃なみの初速をもつ。

 違いは、硬種体は着弾ではじけ、中で超高圧状態の樹が急速展張することか。

 命中すれば四方八方に串刺しだ。


「温かいね。温かい子は好きだよ」


 少年の頬を、スカリハ兵の尾の先端がつっついた。

 サーピアてきには、衝撃衝角がある部位。

 ラミアの重い一撃は三つある。

 彼女たちが育てる愛。

 彼女たちは作る毒。

 彼女たちの尻尾の一撃。

 どれも喰らえば明日はない。

 そしてそれらは、サーピアにも受けつがれているのだ。

 ハーリンテンは体の痺れを覚えていた。

 少年に明日はあるのだろうか。

 おそらくは──。

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