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「べつにかまわないわ。私たちが知ってるんだから。そっちのみんなにも教えてあげて。Bは強いのよ」


 どうしようかと思っていたら、俺の代わりにジャスミンが返答してくれた。それを聞いたアーバイルがこっちを見る。


「それでいいかね?」


 訊いてきたから、仕方なくうなずく。


「わかった。ではメアリー。説明するが、実は、彼は獣人類なんだ」


 アーバイルがダークエルフのリーダーに話しはじめた。リーダーの名前はメアリーというらしい。その後ろで、ほかのダークエルフがひそひそ言いだす。


「いま、あいつ、うなずかなかったか? アーバイルの言葉がわかってるのか?」

「馬鹿。日本人は、言葉がわからないときは、なんでもイエスって答えるんだ。それだろう」


 俺はちょっと振り返ってジャスミンのほうを見た。ジャスミンはキョトンとしている。ということは、ダークエルフたちは、俺たちにはわからない言葉でひそひそ話をしているわけか。考えながら前をむいたら、メアリーが驚いた顔で俺を凝視していた。


「こいつ、獣人類だったのか」


 言って、俺に軽く手をむける。なんだと思っていたら、少ししてメアリーが目を見開いた。


「なるほどな。これは驚いた。これほどの魔力を持っていたとは」


 こんなことを言いだす。どうも、俺の体内の魔力の量を測っていたらしい。――そうか、俺はすごいのか、などと思っていたら、つづけてメアリーがこう言った。


「馬鹿面していたから確認しなかったんだが、失敗だったな。人は見かけによらないものだ」

「おい、馬鹿面はないだろう」


 と、危うく俺は言いそうになっていた。ここは我慢である。言葉が理解できないふり、言葉が理解できないふり。心のなかで繰り返す俺の背後で、ジャスミンとローズの気配が一変した。


「Bは強くて優しいのよ。私たちよりは醜いけど、それは仕方がないじゃない、もともとが、ただの人間なんだから」


 むくれたみたいに言ったのはローズだった。気持ちはわかるんだけど、醜いって。それはそれでフォローになってなかった。凹む俺に追い打ちをかけるようにジャスミンが言いだす。


「Bは、ナイトゴーレムがローズに襲いかかっていたのを助けてくれたのよ。外見は人を襲う恐ろしい野獣でも、心のなかは、本当は優しい紳士なんだから。外見だけで相手を判断するなんて、恥ずかしいと思わないの? この町で騎士をしてるんでしょ?」


 俺は野獣かよ。まあ、獣化症で獣人類やってるんだから、言われても仕方がないことだが、それにしても傷つく日である。聞こえないふりしてやり過ごすのも楽じゃないもんだ。


「馬鹿面してるのは事実なんだから、べつに問題のある発言でもないだろう」


 また俺の傷つくことを平然と言いだすメアリーだった。

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