93
「じゃ、どうしてナイトゴーレムが白い連中を襲ったなんてことになったんだ? そいつが嘘を吐いたのか?」
ダークエルフのリーダーがジャスミンを指さしながらアーバイルに質問した。俺の背後にいたジャスミンから怒りのオーラが湧きあがる。――ここにきてから、俺もそういう、気の動きが少しはわかるようになっていた。
「私たちは嘘なんか吐いてない! あのナイトゴーレムは本当に」
「ああ?」
言いかけたジャスミンのほうをむきながら、ダークエルフのリーダーが威嚇の声をあげた。目にも怒気がはらんでいる。ジャスミンのオーラが見る見る小さくなっていった。
やっぱりな。仮にも騎士をやっているダークエルフである。森でのどかに育ったジャスミンが喧嘩腰になったってかなうわけがない。問題は、騎士をやっていながら、実はエルフを国から追いだすなんて作戦を立てていることなんだが。
「あー、実はナイトゴーレムが彼女たちの村を襲ったというのは、間違いないらしいんだ」
ジャスミンをかばうように立ちながら、どうしたもんかな、と思っていた俺の横で、アーバイルが説明をはじめた。さすがにこのままではまずいと思ったらしい。
「その暴走したナイトゴーレムの持っていた大剣を、昨日、彼女たちが持ってきたんだよ。だから、少なくとも、一度はナイトゴーレムが、彼女たちの村まで行き、何がしかの接触をしたことはわかっている」
「――なんだと?」
アーバイルの説明に、ダークエルフのリーダーが、とても信じられないという顔をした。
「ナイトゴーレムの大剣を持ってきただ? それはつまり、ナイトゴーレムが大剣を手放したということだな。そういうふうにプログラムしてるのか?」
「もちろんしていないが」
「じゃ、その大剣は偽物だったんだろう。ナイトゴーレムから大剣を奪いとる方法なんて、私には想像もつかん。不可能なはずだ」
「それは、彼がな」
アーバイルが俺のほうに手をむけた。ますます理解できないという顔をするダークエルフたちである。
「この黄色い人間が、なんだと言うんだ? ドラゴンをたおすために製造されたナイトゴーレムが、ただの人間にどうにかできるわけもないはずだが」
「えーとだな。――説明してもいいかね?」
少し困った顔で、アーバイルが俺のほうをむいた。あ、やばい。いま、アーバイルはサーバナイト語で質問してるはずだ。俺には理解できてるんだが、返事をしたら、俺が言葉を理解できてるってダークエルフに知られてしまう。




