表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/145

75

「気にしてないって言ってくれ」


 俺は左手で紅茶を飲みながら。右手で頭の輪っかをずらして日本語でジャスミンに返事をした。ジャスミンがうなずき、ミーリアのほうをむく。


「Bは気にしてないと言ってます」


 ジャスミンの通訳で、ミーリアもレイリアも笑顔になった。なんとなく気恥ずかしい。あんまり考えないようにしながら俺は紅茶を飲み干した。


「それで、Bが獣人類だということはわかった。ただ、だからと言って、ナイトゴーレムをたおせたとも思えない。あれは、ドラゴンの息吹だけではなく、近距離で蹴られても壊れないように製造されてるはずだ」


 ミーリアが話をつづけた。確かにな。鉄の塊を殴ってるみたいな気分だったし。車のボンネットくらいなら変形させられるんだが、あれはびくともしなかった。


「教えてほしい。どうやってたおしたのだ?」

「ナイトゴーレムの、目の部分を塞いで、一瞬の隙を突いて、持っていた大剣をとりあげ、それで斬りたおしました」


 俺に通訳せず、そのままジャスミンが説明した。ミーリアが眉をひそめる。


「あの大剣をとりあげた、だ?」

「ありえない。あの大剣は、普通の騎士が使う剣の50倍の重量があるはずだ」


 ミーリアとレイリアが言うのを見て、ローズが顔をあげた。


「私も見てたわ。Bは、あの大剣を振りまわして、ナイトゴーレムを斬ったのよ」

「本当か?」


 今度はミーリアが俺のほうをむいて訊いてきた。


「本当にナイトゴーレムの剣を振りまわして、ナイトゴーレムを斬ったのか? だって」


 ジャスミンが通訳してきたから俺はうなずいた。ひきつづき、ジャスミンが通訳し、説明も補足する。


「とにかく、Bはナイトゴーレムを斬りたおしました。いまは補修してプログラミングしなおし、私たちの村を守る、普通のゴーレムとして稼働しています。それから、ナイトゴーレムが暴走した証拠として、奪いとった大剣を、私たちはこの町まで馬車で運んできました。午前中に、ナイトゴーレムを製造する工場に持って行って、責任者のアーバイルに見せています。アーバイルも、大剣がある以上、ナイトゴーレムが暴走して私たちの村に入りこんだという話を信用しました」

「馬鹿な!」


 ここで叫んだのはレイリアだった。眉をひそめながら立ち上がる。


「ナイトゴーレムはドラゴンから私たちを守ってくれる超兵器のはずだ。それが暴走してエルフたちを襲うなど――お爺様が、そんな欠陥品をつくるはずがない!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ