表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/145

36

 そういえば、無茶苦茶長生きする種族だもんな。俺たちの世界の江戸時代と、まったく同じってわけにはいかないようだ。


「私は、これからだって、好きに恋愛ができるんですからね」


 むっとした顔のまま、ジャスミンが近づいて俺を見あげた。


「それが、たとえ、エルフじゃなくて、普通の人間でも問題ないだろうし」

「は?」


 俺は聞き流すことができなかった。


「ちょっと待ってくれよ。それは問題なんじゃないか? ほら、そういうことすると、子供はハーフエルフになるから」


 俺が言ったら、ジャスミンが、なんだという顔をした。


「そういう差別をするなって、昨日、Bが言ったんじゃない?」

「――あ、そうか」


 俺は自分の言葉をひっこめることになった。そうか。じゃ、いいのか。前にも都へ行ったことがあると言っていたし、ジャスミンには好きな人間がいるんだろう。


「好きな相手と、うまく行くといいな」


 励ますつもりで言ったら、どうしてかジャスミンが苦笑した。


「それはB次第だけど?」

「わかった。じゃ、なるべく協力するから」


 とかなんとか話をしていたら、俺の視界の隅で、ローズの両親の表情が変わった。視線もである。俺の背後を見ていた。

 振りむくと、マーガレットと、ほかの村の住民が歩いてきていた。


「では、旅立ちですね?」


 俺にむかって、笑顔で言う。いよいよだな。俺の第二の人生が、本格的にはじまるらしい。


「ママ、馬車は?」

「村の入口まで誘導しておきました」


 言ってマーガレットが背をむけた。ついてこいってことなんだろう。俺とジャスミン、ローズがマーガレットのあとを歩いていくと、開けた場所にでた。なるほど、何かの映画で見たような感じの馬車がある。

 ちなみに馬は二頭だった。二馬力だな。かなりの荷物も運べそうである。


「俺、本物の馬って見るのはじめてなんだよな」


 なんとなくビビりながら、俺は馬車に近づいた。――ここで気がついたが、馬車のなかには、昨日、俺が振りまわしたナイトゴーレムの大剣が置かれている。確かに、かなりの重量だったからな。懸垂したときよりきつかったから、俺の体重より重いわけだ。我ながら、よく振りまわせたもんだよ。獣化症万歳である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ