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「大体、奴隷なんて法律違反だし」

「へえ、そうなんだ? それはほっとしたよ」


 俺はジャスミンの説明に笑顔で返した。同じ世界の人間が鞭でひっぱたかれて鉱山で穴を掘ってる姿なんて見たくないからな。ただ、だったら余計に訳がわからない。


「じゃ、何が問題なんだ?」


 あらためて質問したら、マーガレットが困ったように。目を伏せた。


「なんと言いますか。その、外見による――偏見と言いましょうか」

「――ああ」


 歯切れの悪い返事だったが、これで一瞬に納得が行った。なるほど、そういうことか。青い顔色の宇宙人は一等市民で、白や黄色や黒い肌の人間は二等市民なんてアニメを見た記憶がある。あれと同じことを、俺はリアルでやられるらしい。


「平たい顔族は怪しいから隔離しろなんて話、確かに聞かされたらおもしろくないな」

「あ、いえ、決して隔離されたりはしません。そのような野蛮な行いは法によって戒められています」

「あ、そうなのか?」


 渋い顔でつぶやいたら、マーガレットが慌てて訂正した。平等が保証されているとは。ここは意外にいい世界だ。いい世界である以上、何が問題なのかわからない。


「いまの話を聞く分には、特に困ったようなところはないと思うんだけど」

「法の上では平等だってだけで、そう思ってない人間が多いのよ」


 これはジャスミンの言葉だった。あ、そうか。


「都の法で、異世界からきた人間も、普通の人間として扱うってことになってるらしいんだけど、どうしても、ね。まったく魔力を持たないという時点で、やっぱり奇異の目で見られるし」


 ジャスミンの説明は、やっぱり聞いていて楽しいもんじゃなかった。


「特に、Bみたいな、黄色い肌の人間は、都でも珍しいから。それで」

「なるほどな。話はわかった」


 アメリカで、白人が黒人にむかって意味もなく発砲して、どう考えても白人が悪いのに、裁判で無罪になった。――そういう話は、何回かTVで見た。あれと同じことが、ここでも起こってるわけか。俺が都に行ったら、かなり静かにしておかないとまずいらしい。


「ただ、ちょっと質問」


 口にだして言ってから俺は苦笑した。ここにきてから、俺は質問してばっかりだ。


「なんでしょう?」

「あなた方エルフ族と、俺だって外見が違う。肌の色もだ。そして俺は日本人。数の理屈から考えて、ここにきたアジア人は中国人が一番多くて、日本人は少数派のはずだ」

「その通りです」

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