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「そんなところだ」


 俺は自信満々の表情でうなずいて見せた。内心、冷や汗をぬぐいながらである。この無用に突っこんだ質問で、プライドの高いエルフの皆様を怒らせて俺は永久追放って危険もあったのに、よくもあんな上から目線でものを言ったもんだよ自分。俺の心境に気づかないマーガレットが説明をはじめる。


「確かに、100年前のAと、あなた――B以外にも、あなた方の世界から、こちらのきたものはいました。かなりの前から、相当な数が。アメリカ人も、イギリス人も、ドイツ人も、そして日本人も」

「やっぱりな。そういえば、原因不明の行方不明者なんて、TVで放送されないだけで、世界レベルで何千人だったか、何万人だったかもいるって聞いたことがある。そういう連中がこっちにきてるのか」


 俺の予想は的中していたらしい。マーガレットは、言いにくそうに話をつづける。


「ただ、その方々は、ほとんどが、普通の人間でした。Bのような、特殊な力を持っていたわけではないのです」

「――ま、そりゃそうだろうな」


 ひきつづき、俺はうなずいた。獣化症による獣人化なんて、世界的に見れば、ごく少数の人間しか発症しない奇病である。


「そういう、普通の人間は、ほとんどが都へ行っています」

「ふうん。都ってのは、さっきも言ってたな。なんでだ?」

「彼らは森で生きていくすべを知りません」

「あ、そうか」


 俺は獣人類だから問題ないが、普通の人間が野生の環境に放りだされたら、三日で100%死ぬだろう。こっちの世界の人間が何人も住んでいる都会へ行くのが普通だ。


「ただ、それで、都へ行ったものたちが、どうなったのかと言うと」


 ここで、マーガレットが言葉を区切った。――なんか、いやな予感がした。


「まさか、奴隷にでもされてるのか?」

「あ、いえ、そんなことは」

「サーバナイトに奴隷なんていないわよ」


 あわててマーガレットが首を左右に振り、俺の横でジャスミンが言葉を補足した。


「外の力仕事なら普通のゴーレムを使えばいいし、家のなかのことなら、金持ちは魔導士にホムンクルスをつくらせて、それに命令してるから」

「――あ、そうか。ゴーレムがいたんだよな。じゃ、奴隷なんかいらないか」


 俺は馬鹿な勘違いに気づいた。ここは魔法が存在する世界だ。俺たちの世界の、過去の歴史と同じことをやっているわけがない。

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