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「わかった」


 メアリーが代表してうなずく。これで問題は、一応の解決を迎えたわけか。俺はほっとした。


「じゃ、ジャスミンたちのところへ戻るぞ。くれぐれも喧嘩はしないようにな――」


 俺が言いかけた瞬間だった。


「うわ! なんだこれは!?」


 いきなりメアリーが苦悶の表情を浮かべて膝を折った。べつに俺は暴力を働いてはいない。もちろんほかの連中もだ。何かの発作か? 妙に思った俺が周囲に目をむけると、ほかのダークエルフたちも同じような状態になっている。頭を押さえて、何やらぶつぶつ言いだした。

 少して、メアリーたちが立ちあがった。もう苦悶の表情からは解放されているが、ずいぶんと疲弊しているように見えた。


「――どうしたんだ?」


 訳がわからないまま効いたら、メアリーが自分の額を指さしながらこっちを見た。


「いま、私のなかの、魔力を感じるセンサーをシャットダウンさせたんだ。いきなり、頭がおかしくなりそうな、とんでもなく巨大な魔力を感じたものでな。貴様にはわからないことだと思うが」

「うん、わからない。まあ、なんとなくの想像はつくけど」


 たぶん、隣近所の騒音がうるさいので耳栓をした、みたいなことを、魔力の世界でやったんだろう。


「それで、事情はわからないけど、ダークエルフの能力で、ものすごい魔力を感知したってことはわかった。なんだそれは?」

「想像はつく。奴だ。いままで、むこうも魔力を抑えて、この町まで静かに近づいてきたんだろう」


 メアリーが深刻な面持ちで俺を見た。


「あの巨大な魔力は間違いない。ドラゴンだ」


 ドラゴン。


 俺がいた世界でも、神話で、おそらく最強と言われる生物だ。確か、マーガレットの説明によると、巨大な魔力の塊で、その魔力で空を飛び、炎を吐き、あの巨体を維持しているとか。そして、そのドラゴンの脅威から身を守るために、ここの魔導士たちはナイトゴーレムを製造した。


「――は? ちょっと待ってくれ。各地にはナイトゴーレムが配備されているって聞いてるぞ。ドラゴンがここにくるはずが」

「それはたぶん」

「いまの魔力数値、見たか!?」

「メーターが振りきれて火を噴いたぞ! これはただ事じゃない!!」

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