第三十一話 特別依頼と、次の秋の森へ
庫裏の食堂に戻ると、パーティメンバーがすでに俺を待っていた。
ミランダがにこやかに、しかし少し興奮した声で切り出した。
「ああ、待ってたわよ。
バリアン宗の寺から、割のいい特別依頼が来てるの」
俺はまだ薬師堂での問答の余韻で頭がぼんやりしていたが、
その言葉で我に返った。
「依頼……?」
ラセリアが腕を組んだまま説明を続ける。
「内容は、秋の森近くの古い寺院跡で起きた魔力異常の調査と浄化だって。
報酬はかなりいい。馬と弓の維持費はもちろん、
次の秋の森行きに必要な旅費も十分に出る額よ」
リリーシャが即座に反応した。
「……秋の森近く?
あんたがさっき寺で呼ばれたのと関係あるんじゃないの?」
「わからない……でも、タイミングが良すぎるな」
ドルガンが低く笑った。
「南無ラトナ仏……まあ、いい依頼なら受けりゃいいさ。
金がなくなってからじゃ遅えからな」
ミランダが茶を一口飲んでから、補足した。
「馬車で行くと迂回が多くて日数がかかることがわかったから、
今回は乗馬で山川を越えて行くのが良さそうね。
その分の装備と馬の世話代も、この依頼の報酬で賄えるわ」
俺は静かに頷いた。
前回の失敗を思い出すと、確かに馬車はリスクが高い。
乗馬なら道を短縮できる可能性がある。
リリーシャが俺の顔をじっと見つめ、皮肉っぽく言った。
「へえ……また無茶する気?
前回みたいに怪我だらけになって、
『自業自得だな……』って苦笑いするんじゃないでしょうね」
俺は苦笑いしながら答えた。
「今回はちゃんと準備するよ。
前回の反省は活かすつもりだ」
リリーシャは「ふん」と鼻を鳴らした。
「まあ、死なない程度にね。
足手まといが増えると面倒なんだから」
ミランダがくすくす笑いながら横から突っ込んだ。
「リリーシャ、相変わらず素直じゃないわね」
「うるさい!」
リリーシャの顔がぱっと赤くなり、
慌ててジョッキに口をつけて視線を逸らした。
俺は内心で首を傾げた。
なんだか最近、リリーシャの態度がコロコロ変わる気がする。
……また何か恨みでも買ってるんだろうか?
ラセリアが話題をまとめにかかった。
「依頼の詳細は明日、寺で正式に聞くことになる。
報酬がいいだけに、魔獣の出没も激しいらしい。
ちゃんと準備しないと、また散々な目に遭うぞ」
俺は静かに頷いた。
資金の問題が解決の方向に向かい、
次の秋の森行きが現実味を帯びてきた。
だが、まだ油断はできない。
リリーシャが小さく息を吐き、俺の肩を軽く突いた。
「……本気で巫女様に会いたいなら、
今度こそちゃんと生きて帰ってきなさいよね」
その言葉に、俺は素直に頷いた。
「わかった。
今回は……ちゃんと準備して行くよ」
(第三十一話・了)
AIの課金切れを起こしてしまったため、しばらく更新がとまります。
ごめんなさい。。。




