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唯我独尊の猫は恩返しに創作活動をする  作者: 善峯


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5/5

5.私達は評価される

 深い暗闇の中で私は目覚めた。どうやら私は昨晩、いや正確には今日の未明に食事をした後眠ってしまったらしい。

 しかしまだ眠気が続いてるからか瞼が重く開けるのも億劫なので目を瞑りながら過ごすわ。目覚めの状態から感覚が冴えてきつつある頃、私の顔や前足に何やら柔らかくて温かい感触が伝わってくる。それでいてどこか懐かしいような感じがする。

 私は手探りの感覚でそれらを前足を使って交互に押してみた。柔らかくて弾力があり押しても跳ね返される。一体何なのかしら。目を開けてみると私の目の前に綺麗な形をした丸みのある肉体があった。私は優美の胸の中で眠っていたのね。どうやらあの晩御飯の後優美も眠ってしまったようね。しかも私を抱き抱えるように。誰かと寝るなんて初めて。野良猫の時では考えられなかったわ。どこかの屋根の上や物陰などに隠れて寝ていたあの時とは。それに服の上からなのにほんのりと優美の体温を感じられてとても安心感がある。ずっとこうしていたいぐらい。とは言えこの姿勢は少々窮屈なので優美の胸から脱出する。そして側にあったスマホに触って時刻を確認する。かなり眠っていたからか時刻は午前11時を表示していた。

 もうお昼なのね、そう言えば優美は今日学校に行かなくていいのかしら?まだ眠ってるようだけど。仕方がないこの私が起こしてあげるわ。そして優美の顔の前まで行って起こそうとする。

 しかし優美の表情を見てその考えは揺らいだ。白く玉のように滑らかで、ふっくらとキメ細かい肌に純粋無垢な赤子のように眠るその顔に私は心奪われた。私は自分の容姿に絶対の自信があり、他の奴などそう簡単に認めたりはしないけど、優美の美しい顔には脱帽するわ。私の目は優美の顔に釘付けだった。そして優美を味わいたいと思った。

 私は顔を近づけて匂いを嗅いだ。普段から優美の匂いを感じてはいるけど、今日はいつにも増して良い匂いだと感じるわ。そして優美の肌を1回舐める。優美のツルツルの肌は舐め心地最高だった。1回、また1回と舐め続けるたびに歯止めが効かなくなった。優美を味わいたい一心が私の理性を狂わせる。


「う……、ん……?」


 無我夢中になってしまったからか優美を起こしてしまった。私は我に返り何事もなかったかのようにエジプト座りした。


「おはよう、クロミちゃん……。うわ、何か顔がやけにベタベタしてる。寝汗でもかいたかな?」


 優美は身体を起こして重い足取りのまま洗面所で顔を洗う。良かった、舐め回したことはバレていないようね。私は胸を撫で下ろすと同時に名残惜しい感情が湧いてきた。もう少し優美を味わいたかったのに。

 顔を洗い終わった優美が洗面所から戻ってくる。私は今日大学行かなくていいのかしらと問うように優美が普段使っている通学用バッグを叩いてアピールする。


「お、心配してくれているの?優しいねクロミちゃん。何と今日は幸いにも授業お休みなんだよ。」


 何だお休みだったのね。だとしたら今日は丸一日優美と過ごせるのね。しかし私の期待はあっさりと裏切られた。

「けど夜からバイトに行かないといけないけどね」

 何だバイトがあるのね。1日中一緒に居られると思ったのに。


「そう落ち込まないで、バイトの時間までに完成したネームを読み直していこ?」


 別に落ち込んでいるわけじゃないわよ。優美と一緒に漫画の完成に集中することができないって嘆いてるだけよ。

 朝昼兼用の食事を済ませて優美と一緒に完成したネームを読み直す。優美は熱心にネームを読んでいた。


「改めて読み直すと面白いかもしれない……!物語に引き込まれるって言うか何と言うか……」


 それはそうよ。片方の内面は描かれていてももう片方の内面は描かれてないんだもの。読んでる側からすれば紗英の行動が好意かそれとも単におちょくっているだけか疑問が湧いてくるから続きが気になる様に構成しているんだから。我ながら完璧ね。そして優美は下絵の工程に進み、その後も着々と完成に向けて作業を進めていた。そうして数日が経っち包帯も取れるようになった頃。


「終わったー!遂に完成よ!」


 優美は喜びの声を上げた。優美のその姿は実に微笑ましいものね。


「後はこれをrixivに上げるだけね。私とクロミちゃんとで作り上げた作品がどれくらいいいね貰えるか楽しみだね!」


 ええ、そうね。私も自分のアイデアがどれくらい評価されるのか楽しみよ。もしかするとあっという間に3桁いいねに到達したりして。そして優美は私に感謝して崇め奉ることでしょうね。その姿を想像したら吹き出しそうになるわ。


 後日、玄関がやけに騒々しいと思ったら勢いよく優美が飛び込んできた。


「やったよクロミちゃん!!私たちの漫画凄いことになってるよ!!」


 優美は私にスマホの画面を見せつけてきた。


「見て!!私たちの漫画にいいねが250付いてるよ!!私史上最高のいいね数だよ!!」


 当然よ、優美のアイデアに私のアイデアが加われば百人力よ。でももう少しいいねが欲しいところね。


「これもクロミちゃんのおかげだよ〜、正に招き猫だね」


 優美は私を胸に抱き抱えながら頭を撫で回した。優美の撫で方は心地よいものね。そしてその笑顔も。その柔らかな手と無邪気な笑顔は私にとってかけがえのないものになっていた。決めたわ、私は優美のために彼女の作る作品のお手伝いをするわ。また優美と一緒にこうしていられるようにね。


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