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(1月10日の手紙)

男爵令嬢ズとそのお相手の話です。

お母さん



 今日の放課後、男爵令嬢ズは、生徒会役員の皆さま(ケント会長は除く。ケント会長は、ジークやエリザベートさまの間でウロウロしてて使いものにならないのです)と私を交えて、男爵令嬢ズのお相手候補だった悪役4人組をどうしたものか、という相談をしたんです。


 ま、ぶっちゃけ、『生徒会だより』の印刷(例によって、魔法陣の上に原稿を置いて「100枚でお願いします」って言っただけです)が終わった後で、お茶しながら、おしゃべりしただけとも言えるんですが……。



 物事に真正面から取り組むテレサは、


「あいつらの弱点を衆目にさらして、顔を上げて歩けなくしてやる」


って、息まいたんですが、金貸しに借金があったせいで好きでもない女を口説けって誰かに強いられたなんて暴露して、その好きでもない女が自分たちだなんて大っぴらにするなんて、逆に恥ずかしいんじゃないかって言われて撃沈しました。




 何をするにも小説を参考にするマーサは、


「この前読んだ小説にあったんですが、ものすごい絶世の美女に口説かせて、4人に血で血を洗う戦いをしていただくんです。そうして、最後に勝者となった人を、あっさり振っていただきましょう。


 留飲が下がること、間違いなしですわぁ」


って、ノリノリなのは良いけど、そんな美女、どこにいるだって突っ込まれて以下同文。



 スーザンは、さすがキンバリーって感じの提案したんですが、


「あの人たちの前に金貨の袋を積み上げて、これが欲しかったら、こっちのいうことをお聞きって、すごむのはどう?」


って、それじゃあ、ジルド以上の因業ババアじゃないかって非難されて、これも没。



 あんまり、みんなの案がはかばかしくないので、困ったパメラが、


「じゃあ、じゃあ、じゃあ……もう、いっそのこと、何にもしないで、知らんぷりしましょう」


って、言ったんです。




「それって、どういうこと?」


 それまで腹を抱えて笑っていたジェームズさまが、訊いたんです。


 何か、この頃のジェームズさまは、雑用係の保護者みたいです。




「何も考えてないんじゃない?」


って、私が言うと、パメラが申し訳なさそうに、


「そうとも言えるかも……」


と、消え入りそうな声で白状したんです。




 でも、ジェームズさまが、逆に食らいついて賛成したんです。


「それって、良いかも」


 ダグラスさまやネイサンさままで、


「ああ、無難なんじゃないか?」

「俺もそう思う」


って、パメラに一票投じたんです。




 言い出しっぺのパメラの方が、訳が分からなくなったくらい、3人が、それで行こう、それが良いって、盛り上がったんです。




「あの~」


って、パメラが説明を求めると、三人を代表してジェームズさまが説明してくれたんです。



「年越しの舞踏会で、君たちは彼等にエスコートを頼まなかっただろ?」


「当然ですわ。振られるのが分かってて、エスコートを頼む馬鹿はいませんわ」


「後で、エスコートしてもらうほどの仲だったのにって、別れた理由を詮索されるなんて、考えただけでも、ゾッとしますわ」


「本当に、あの時点で別れていれば、こんな面倒なことになりませんでしたのに」


「あの時は、エスコートの申し出を断られたって、怒ってらしたけど、そもそも、付き合う気もないのに、エスコートを申し出るなんて、どういう神経してらっしゃるのかしら。


 婚約破棄ものの小説だって、付き合う気もない相手にエスコートの申し出なんかしませんわ」



 一同が、口角泡を飛ばして言い募ると、ジェームズさまが諭したんです。




「だから、このまま放っておくんだ。


 彼等が文句を言って来たら、その時、証拠を突き付けて、正式に別れたら良いんだ。


 彼等が行動を起こす前に動くと、どうしたって、あの魔石に記録した音をどうやって拾ったかって話が出る。


 だけど、向こうが文句言って来たときに、やむを得ずって感じであの魔石を出せば、どうやって得た証拠かなんて話は吹っ飛んでしまって、カウンターパンチになるんだ」


「そうそう、頭に血が上ってるから、証拠の出所にまで考えが及ばないはずだ」


「僕も、それが良いと思う。


 多分、向こうは、自分たちの言い分を聞かないでいつまでもエヴァと仲良くしている君たちに、業を煮やして抗議に来るはずだ。その時が、チャンスだと思うよ」



 

 なるほど、そんなものですか。



と、男爵令嬢ズとともに、よく分からないなりに、ここは、生徒会役員の皆さまの意見に従ってみようということになったんです。



 この頃の男爵令嬢ズとマキシムさまたちとの関係は、男爵令嬢ズが彼等を無視して私と仲良くするから、一触即発なんです。



 近いうちに、大戦が勃発するかもしれません。


 

 ジェームズさまを始めとする生徒会役員の皆さまは、その時に、はっきりさせたら良いって言ってるわけで、思ったより好戦的な方々のようです。


 

 その案に乗っかる男爵令嬢ズも、結構好戦的です。


 

 横で見ている私も、原因が私にあるだけに、好戦的にならざるを得ません。本当は平和主義者なのに……。



 


 お母さん、学園って、結構危険なところみたいです。



                       1月10日


              戦いの秒読みに入った エヴァ





近いうちに戦いが勃発します。

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