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(12月12日付けの手紙)

学園内では、エヴァが振られたという噂で持ち切りです。


お母さん



 ジークがケント会長のかまってちゃんになったって話は書きましたね。


 そしたら、不愉快なことに、皆さま、私がジークやケント会長に振られたと思ったみたいなんです。



 ジークは、友人としては大事だけど、恋人になるには、ちょっと……ってお人です。

 ケント会長も以下同文です。


 

 それなのに、私があの二人を篭絡しようと媚びを売っていたのに、二人が平民・・に興味を示さず、私が自爆したことになってるんですって。


 情報提供は、男爵令嬢ズです。




 あの二人のことは、正直どうでも良いんだけど、周りの皆さまの憐れむような、蔑むような視線がウザいんです。




 ところで、今日、男爵令嬢ズのお相手に紹介されました。

 

 お相手の4人は、いずれも誠実そうな方たちで、何故か、皆さま子爵家の方ばかりです。

 パメラたちの野望である、少しでも家格の高いお家にお嫁に行くという目的がほぼ達成できたようです。


 テレサの相手は3年ですが、パメラとマーサとスーザンの相手は1年です。


 実は、キンバリー商会の会頭の孫娘であるスーザンには、何人かの男性が交際を申し込んだそうです。しかも、中には、伯爵家の方までいたらしいんです。


 家柄で交際相手を決める訳ではないですが、より家格の良いお家という意味で、どうして伯爵家の方を選ばなかったのか、こっそりスーザンに訊いたんです。


 そしたら、すこぶる現実的でシビアな返答がありました。


 

 お母さんも興味があるでしょう?


 スーザンが伯爵家の男性を選ばなかったのは、彼女の叔母さんが伯爵家に嫁いで苦労してるのを見ているからだそうです。


 彼女の家は大金持ちで、キンバリー商会の会頭を務めるおじいさまを筆頭に一族の皆さまは経済界の有力者になってます。


 だから、叔母さんは、請われてお嫁に行ったそうなんですが、行った先で、嫁いびりが酷かったんですって。

 何かにつけて、所詮男爵家だからって、言いがかりをつけられて、夫になった方も守ってくれなかったそうです。


 それで、可哀そうに半年でやせ細ってしまわれたんだとか。


 なまじ、キンバリー家の方が経済力があって、その援助を受けなければ立ちいかなかったこともあって、嫁ぎ先の伯爵家は、家格の下の嫁の実家の顔色をうかがわなければならないので、面白くなかったんでしょう。


 姑、舅、小姑が、よってたかっていじめたそうです。下手すると、夫まで。


 だから、スーザンは、最初から、いくら両親に伯爵家や侯爵家の嫁の座を狙えって言われても、子爵家までにするつもりだったそうです。



 話を聞いて、感心しました。本当にしっかりした人です。



 ところで、男爵令嬢ズも仲が良いですが、お相手の4人も仲が良いようで、生徒会雑用係として走り回る彼女たちを見初めて、舞踏会のときに告白したそうです。



 男爵令嬢ズにすれば、一生懸命頑張って雑用係を務めたことを評価してもらって嬉しかったようで、まずは、お友達から……と、お付き合いが始まったとのことでした。




 マーサの貸してくれる小説なんかでは、そうやって付き合ってみて、相手との相性とか見極めるようですが、今のところ順調にお付き合いが続いているとのことです。


 で、向こうの皆さまから、私を紹介して欲しいと言われて、今日、席を設けたらしいんですが、私に何の用があるんでしょう?


 


 疑問です。


 まさか、平民の友達がいるのは不都合だからお付き合いを自重してくれって頼まれることはないでしょうね、と心配しながら社交会館(今回初めて入りました)へ行ったんです。



 そしたら、開口一番、テレサのお相手のマキシムさまがおっしゃいました。


「お前、ケント会長からジークフリートさまに乗り換えたのは良いけど、結局、振られたんだってな」



 シーン。という音が聞こえたような気がしました。



 これほど、空気を読まない人は初めてです。


 男爵令嬢ズも唖然としたみたいで、テレサなんか真っ赤な顔をして否定したんです。



「何にも知らないくせに、何言ってるんだ?

 

 あれは、ジークフリートさまが、エヴァにまとわりついていただけだ。

 ケント会長が、ジークフリードさまに過干渉だったから、エヴァと接触してるように見えただけだぞ」


「いやあ、本音は、お二人のどちらかの恋人になりたかったんじゃないかって、専らの噂だぜ。

 君たちは、気が良いから騙されてるんだ」


 そう言ったのは、パメラのお相手のベンジャミンさま。


「そうそう、だから、俺も、いっぺん噂の女の顔を見たかったんだ」


 マーサのお相手のデビッドさまも、馬鹿でした。


 極めつけは、スーザンのお相手のシルベスターさまです。


「大丈夫だ。あの二人に振られたからって、悲観することはない。

 俺の友人で、結構優秀な男がお前に興味を持ってる。今度、紹介してやるよ」



 顔の筋肉を全力で抑え込んで、怒鳴りたいのを必死に我慢しました。



 あまりの言い方に、男爵令嬢ズの方が焦ってました。


 男爵令嬢ズは、ジークが私にまとわりついたせいで、私が迷惑していたのを知っていますし、学園中に流れる濡れ衣のような噂の出所が、エリザベートさまの腰巾着のお三方だということも知ってます。



 だから、そういうデマに振り回される半端な男は、夫として好ましくないと思ってるんです。


 これは、男爵令嬢ズとお茶したとき、テレサが言っていたから、多分、本音だと思います。



 男爵令嬢ズは、『夢は大きく、現実は手堅く』をモットーに生徒会の雑用係を足場にして婚活に励んで来たのです。


 彼女たちの男の評価は、客観的かつ現実的です。



 

 静かに立ち上がると、男爵令嬢ズに言ったんです。



「悪いけど、私、こんな馬鹿と付き合えない。

 あなたたちが好意を持ってる人たちだからといって、私が我慢して付き合う必要ないよね?

 今後、私をこういう席に呼ばないでくれない?」



 テレサも、マーサも、スーザンも、パメラも、何も言いませんでした。


 

 彼女たちの葛藤が手に取るように分かるだけに、酷いことを言ってる自覚はありました。

 

 でも、私にだって、プライドというものがあるんです。


 もう、学園内で友達を作らない。


 そう決意して、その場を辞しました。




「あんたたち、何、馬鹿言ってるのよ!」

「そうよ。この件については、一方的にケント会長やジークフリートさまが悪いのに」

「エヴァは、最初から、あの二人を相手にしてなかったのよ」

「どこで仕入れた情報か知らないけど、そんなガセに踊らされるなんて、馬鹿じゃない?

 もっと、情報は、精査しなさいよ!」


「だって、みんな言ってるじぇねえか!俺は、多数意見に従っただけだ!」


「多数意見だったら、間違った意見にでも従うの?」


「そんなことはない。この場合、公爵閣下や侯爵家嫡男が絡んでいるんだ。

 向こうが正しいに決まってるだろ?」


「それが、間違いだって言ってるのに!」



 ドアの向こうは大騒ぎです。




「もう、こんな馬鹿と付き合いきれない!」



 パメラのひときわ大きな声が聞こえて、荒々しくドアが開き、後ろから彼女が駆けて来るのが分かりました。



 パメラ……。あんた、良いだね。


って、思ったので、振り向いて言ってやったんです。



「あんた、彼氏、放り出して良かったの?」って。


 そしたら、彼女は、


「あんな馬鹿、こっちから願い下げよ」ですって。



 しばらく二人で見つめあっていると、後からバラバラと音がして、テレサ、マーサ、スーザンの三人も駆けて来たんです。



「「「エヴァ!」」」


って、抱き付いて来たので、男爵令嬢ズと思いっきり抱き合いました。



 みんな、嘘の情報を信じてるけど、男爵令嬢ズだけは、私を信じてくれている。

 

 それが、とっても嬉しくて、気が付くと頬が濡れてました。




「エヴァには、転移魔法の魔法陣もらったんですもの。大事にしないとね」


って、これも目に涙を浮かべたスーザンが笑いながら言ったんです。


 


 お母さん、友達って、良いもんですね。


 


                         12月12日


                     友達に恵まれたエヴァ 




エヴァは、良い友達に恵まれてます。

すみません。お相手を間違えてましたので、訂正しました。m(__)m

デビッド(誤)→マキシム(正)2020.4.16


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