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(7月5日付けの手紙)

エヴァは、三つの魔法陣の話をスレイ翁にします。


お母さん


 昨日、森へ行って、スレイ翁に三つの魔法陣の話をしたんです。

 

 そしたら、禁書庫に入った下りで、翁が大笑いしたんです。


 理由を訊くと、笑いをおさめて教えてくれました。


「学生証が鍵の役割を果たすと言うても、所詮、その魔法をかけた魔術師より下位の者にしか利かん。

 お前に鍵が利かなかったということは、その魔法をかけた魔術師よりも、お前の方が上位じゃからじゃ」


 

 

 え、え、えっ?



 じゃあ、私は、恐れ多くも、学園のセキュリティを司る偉い魔術師より上位の魔術師だってことになるんでしょうか?



 

 ヤバ!こんなこと、他の人に知られたら、命を狙われます。




 マーサがこの前読んでた小説が、そんな話だったんです。


 悪い宮廷魔術師に命を狙われながらも愛を貫き、世のため人のために奮闘する市井の魔術師とその恋人の恋愛物語だったんです。

 マーサによれば、緊迫した状況下で一緒に行動してると恋をしてるように錯覚するそうで、それを『吊り橋効果』と言うんですって。

 その話は、吊り橋効果じゃなく、想い想われる本物の愛の話だったんです。


 そして、話の中で、市井の魔術師が命を狙われる原因となったのが、宮廷魔術師より魔力が多くて優秀だったことでした。



 って言ったら、またまた翁に笑われました。


 話を聞く限り、生徒会役員の口から、私の能力の話が漏れることはないだろうと言うのです。


 

 よく分からない説明が続いたんですが、翁が私に害が及ばないと判断しているなら、気にしないことにします。



 それにしても、カトンリーの役所で魔力検査をしたときは、普通のレベルだったのです。

 いつの間に、そんな大それた魔術師になったんでしょうか?


 

 解せぬ……。


 実感もないんですが、翁が嘘を付くとは思えません。





 ただ、こんなことが分かってくると、自分が怖くなります。


 お母さんは、どう思いますか?



                7月5日


             命を狙われるかもしれない エヴァ




PS スレイ翁によれば、パメラと手を繋ぐとシールドが強化されるのは、強化されるのじゃなく、パメラのおかげで、本来の力を発揮しているだけだそうです。

 元々、私には大きな力があって、何らかの原因によって、それが発揮できない状況になっているというのです。

 本来の力は、学生証なんか使わなくても禁書庫を開けることができるほどのものだそうです。


 それが本当なら、どうして、本来の力が発揮できないんでしょう?

 命を狙われるのを避けるためでしょうか?

 

って、言ったら、「小説の読みすぎじゃ」って、笑われました。


エヴァの能力は謎に満ちてます。

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