(5月9日付けの手紙)
エヴァの小遣い稼ぎは、順調です。
お母さん
お手紙読みました。
うちの薬草園が順調なことに安心しました。
私がやっていた水やりが、近所の子供たちの小遣い稼ぎになっているという話に笑いました。
私が貰っていたお小遣いは、子供たちのバイト代に充ててください。
というのも、こちらで、十分な小遣いを稼ぐことができそうだからです。
保健室のフォード先生とは、まあまあ良いお付き合いができています。
最初に会ったとき、
「君の出身はどこだい?」って訊かれたので、
「アイデリー州のトーリ村です」って答えたら、
「スレイ山の近辺か?」って、訊くんです。
「そうです。麓です」って言ったら、
「アイデリー州のスレイ山近辺は薬草で有名なんだ。君は、関係者か?」ですって。
「家で母が薬草園を作ってギルドや領主さまに卸しているんです。それと、ときどき、特殊な薬草の採取依頼を引き受けることがあります」と言うと、
「君がやっている薬草の販売は、君が実家でやっていた仕事だったのか?」
と、驚いていました。
何しろ、学園はお貴族さま御用達の超名門学園ですので、実家の薬草園で働いていたり、特殊な薬草採取の依頼を引き受けて、山の中を探し回る生徒なんかいなかったのでしょう。
でも、最初の驚きが治まると、後は、ビジネスライクなお付き合いになりました。
そのうち、家で薬草園を営んでいるのだから、薬草の扱いに詳しいだろうと思ったんでしょう。
「薬草園の水やりや草引きの手伝いをしないか?」と言ってくれたのです。
フォード先生は、保健室に隣接する庭に結構広い薬草園を作っています。
家でやっていたのと似たような仕事なので、負担も少ないでしょうし小遣い稼ぎにもなるだろうと、引き受けることにしました。
水やりは毎日ですが、草引きは適当に頼むとのことで、一箇月金貨1枚くれるそうです。月に2、3回スレイ山へ薬草をとりに行くと、たいだい1回で銀貨5枚になります。
どちらも、家でしていたのと同じ仕事ですので、毎朝水やりして週末はスレイ山へ行くということにしました。
これで、お小遣いとしては十分すぎるほどになります。
さて、手紙にあった森の魔女がシロバナキリンソウが欲しいと言うお話、了解しました。
今後、スレイ山に行く度、探そうと思います。
確か、風通しの良い日陰を好む草だったと思うので、同じような場所を重点的に探してみるつもりです。
希少な薬草ですので、なかなか見つからないかもしれませんが、魔女も腰を据えてじっくり探して欲しいと言ってくれているので、気長に探そうと思います。
私は、当分、スレイ山のこちら側を探検してみるつもりです。
村とイースレイは、スレイ山の西と東で緯度的には同じですが、山のこちら側がどうなっているのか、全く分からないからです。
どこに何が生えているか調べて、個人的な地図を作ろうと思っています。
地図ができれば、季節に応じて、いつでも効率的に薬草をゲットできるはずです。
ところで、休みの日の私は、村にいた頃と同じ形をしています。
パンツ姿で、大きなリュックを背中にしょって、腰に魔物除けのサシェ(お母さんが魔物の嫌うムラサキカンゾウを入れて作ってくれたサシェは、直系15センチの丸い玉ですので、初めて見たパメラ以外の男爵令嬢ズが驚いていました)と山刀を下げている格好で、パッと見男子のように見えます。
お母さん、薬草採取セットを送ってくてありがとう。
こちらへ着いてすぐに、お母さんから手紙と一緒にあれらが送られて来たときは、「こんなもの、どうしろと?」と、思ったのですが、薬草採取には絶対に必要な装備です。
やっぱり、お母さんは大したものです。
これで、寒い日にはローブを羽織るのですが、この頃は暖かくなってきたので、どうかすると、シャツとパンツだけです。
この格好で男爵令嬢ズに会うと、パメラは見慣れてますし、テレサやスーザンは普通なんですが、なぜか、マーサが興奮するんです。
男子みたいで『萌える』んですって。
よく分からない反応ですが、悪意もないし、本人にすれば誉め言葉のつもりのようなので、スルーしています。
4月26日
エヴァは、家でしていたのと同じ仕事で小遣いを稼ぐことになります。




