Page.21「出逢い」
あけましておめでとうございます!
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これより「Raison D'etre」第2章、開幕です!
無事に関所を通り、街を出ることができた。
そして今は目的地を決めてる真っ最中。
「さて、街を出たわけだけど、これからどこに向かう?」
「本当に何も計画してないからなぁ……とりあえず歩いて、日が暮れるまでに宿とか泊まれる場所を見つけられなかったら……早々に野宿か?」
旅の初日が野宿ってのは……さすがに嫌だな。
そんなことを考えつつ、俺は自分の荷物の中にあらかじめ入れておいた地図を取り出した。
「えっと……俺達が出た関所が“西門”にあたるから……場所的には、“シャルマン”が一番近いな」
すっ───と、自分の住む街からシャルマンまで指先を走らせる。
ここ……森の中にあるんだよなぁ。
「ノア君がなぜかとても嫌そうな顔をしている……」
「あー……思いっきり森の中に村の名前が書いてありますね……」
この森はあまり良い噂を聞かない。
通称───『迷いの森』と呼ばれるその森は、『一度入れば、二度と出てくることができない』と言われている。
地図には、その森の中に真ん中辺りにデカデカと“シャルマン”と書かれてある。
「安心しな、その森をうまく抜ける方法は俺が知ってるから」
「フゥ君と同じで……実は私も、知ってるんだよね……」
「二人が生きてた時代からこの森はそう呼ばれてるのか……」
コクっと二人は俺に向けて頷いて返した。
「えぇと……では、最初の目的地はシャルマンということで、いいんでしょうか?」
シエラがおずおずと尋ねてくる。
「俺は構わないぞー」
「一番、そこが無難だよね」
フゥとクレアが賛同の意思をみせる。
「まぁ、全員の意見が一致してるなら、いいんじゃないか?」
と、俺がそんな感じで言うとシエラは薄ら笑みを浮かべて、
「では、まずはシャルマンに行きましょうか!」
そう元気よく言った。
あ、いつの間にかシエラに仕切られてしまっている……!
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目的地を決め、歩みを進める。
その間、フゥとクレアは昔と今との辺りの風景の違いについて話し合っていた。
「この辺りの道、かなり整備されてる……」
「色んな植物がこの辺にも広がってたのになー……ただの平坦な道に変わってしまったか……」
少し寂しそうな声で二人が言う。
「そういえば、花畑が近くにあったんだっけ?」
どうにか気分を変えてもらおうと、俺から質問を投げかけてみる。
「あぁ、あったぞ。……というか、今もあるんだろうな……もう行き方、覚えてないけど」
「あの森を抜けた場所にあるはずなんだけど……地図にも載ってないし私も小さい頃に行ったきりだから……ね?」
えぇー……二人して行き方を忘れてるのか……。
「……花畑への行き方は忘れてるのにあの森の抜け方は憶えてるんだな」
「うるせぇよ。はぁ……あ、ちなみにあの森、来た道を戻っても入ってきた場所とは違う所に出るんだ。だから『迷いの森』なんていう呼ばれ方をしてて……ん、噂をすれば……見えてきたぞ、『迷いの森』が」
フゥの言う通り、俺達の目と鼻の先にはまるで、絵本に出てくるような森が広がっている。
「……い、行きます?」
『迷いの森』の迫力に気圧されたのか、シエラが戸惑っているかのように訊く。
「……行くしか、ないんだろうなぁ」
というか、ここまで来て引き返そうなんて気持ちにもなれない。
一抹の不安を抱きながら、俺達は森の中へと足を踏み入れていった。
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……湿っぽい空気が漂い、日が差し込んでいる箇所が少なく見受けられる。
「よ、予想以上に暗いですね……!」
シエラが怯えたような声を出す。
「……俺らが普通に生きてたとき以上に暗くなったなー」
「森だから、手入れする人なんて居ないだろうし、それにここは『迷いの森』だもの……余計に人は寄り付かないよね……」
「木漏れ日が少なすぎる……」
そしてジメッとしているせいか足下がぬかるんでいて、気を付けて進まないと足を滑らせてしまいそうだな……!
「───おや珍しい、外から来た方ですか?」
あたふたしていると、不意に別方向から声が聴こえてきた。
声のした方を見るとちょうど木漏れ日が差し込んでいる場所に少女が一人、立っていた。
「そう、だけど……えぇと……君、は……?」
俺がそう尋ねると少女は───
「あ、先に名乗る方がよかったですね!私はフィリア……フィリア・ハピネスと申します。この近くにある、シャルマンという所で聖女をしている者です」
───と、丁寧にそう答えた。
また“聖女”か……一体、どういう運命の巡り合わせなんだろうなぁ?




