「魂を込めて、命を賭けて。」
知り合いからお題を頂き、それにそってショートストーリーを書くっていうもので書かせて頂いた作品です。
ショートショートです。
楽しんでいただけると幸いです。
無機物に魂を宿らせるにはどうすればいいか。長い間、ずっと考えてきた。
無機物には魂を定着させる器がない。
ならば、その器を作ればいい。
実験に実験を重ね、ようやく無機物に魂を定着させる器を作った。
精巧に作られた人形。それに魂を定着させる土台を埋め込む。
土台となるのは感情だ。喜びでも悲しみでも怒りでもいい、強い感情。
ではその感情をどうやって埋め込むか?
それこそ簡単な作業だった。
「ようやくわかったよ、感情を、魂を無機物に定着させるには何が必要か」
入り込んだ部屋の中は鉄臭い匂いでいっぱいだった。
そして手足がバラバラなヒトガタが幾つも散らばっている。
「恐怖、憎悪、怒り、それら強い感情が一定まで高まると、人形に魂を定着させる土台が完成する」
バラバラだったヒトガタが小刻みに震え出す。
そして、目に見えない「何か」が私の抱えた小さな「ドール」に吸収されていった。
もう少し…もう少しだ…。
この実験が成功すれば、あの子を救える。
心を無くした、空っぽになった魂を救い出せる。
「何か」を吸収した「ドール」は声なき声で私に恨み言を言う。
ここから出して。
解放してくれ。
お前を許さない。
だが、知ったことでは無い。私はやり遂げなければいけない。
魂を込めて、命を賭けて。
無機物に魂を定着させ、心を失ったあの子にもう一度、心を定着させてあげられるまで。




