小さな悪魔
感染者を倒し終わって息を整える頃には、目の前にしおらしくちょこんと座る少女の姿があった。
自分の口の中を何度もぬぐおうとしている。
「ひどい!!人が死んだ!!おええええ。口の中気持ち悪い!!」
この言動に感じ取れるところは、先ほどのアレは、彼女の意思に反した行動だったのだと言うことだ。
少なくとも俺はそう思った。最初はそのように錯覚した。
だが、俺の人嫌いがなせる、純粋な悪意アンテナは、その違和感を感じ取った。ビビビビビって感じだ。つまりその音とは火器管制レーダーである。
ビビビビビ。
引き金に指がかかっている。
ビビビビビ。
「俺に嘘はつかなくていいです。どうせ俺は、人の命の大切さは分かってません」
改善したいとは思っている。普通のふりをして生きたいとも思っている。これは、正確には感じていないのではなく、みんなとは感じているものが別という話なのだ。しかしそれも他の人に言わせれば同じことだろう。
要するに俺には、ゴア表現に多大なる魅力を感じてしまうところがあって、たぶんそれは幼い頃から触れてきたゲームと映画の影響なのだろうが、グロければグロいは程よかった。
小さな目がクリクリと値踏みをするように俺を見る。なんだ。責めても何もでないぞ。
「終わってんじゃん。変なの」
お前は自分の顔を見て状況を語れ。
ハンケチにて顔をごしごしする。ジャカイモの収穫みたいだな。ついてるのは土じゃなくて肉片と血だけと。
「もっと優しく汚れを取ることを要求する!」
無駄に難しい言い回しをするな。ガキが。
こいつには、人を感染させる力があるってことが今回ハッキリとした。
生物兵器じゃんか……そういうヤツが病気を媒介させるのだ!人類の敵だ!
しかし一方で、抗体持ちというのにはかわりなく、この小さな悪魔みたいな肉塊が人類の希望なのである。頭が痛い。
ぴょんぴょん跳ねるな!拭きづらい。




