縁石の出会い
今日は曇り。
最近曇りが続いているので、洗濯物が良く乾かない。お天道様の顔をそろそろ拝みたいなぁと空を見ながら歩いていたら、県道を行く1人の男に出会った。
この環境下で、縁石に腰を下ろして水筒から水を飲んでいる。
随分強気なことで、他の生存者に睨まれるのにも関わらず、平気なようであった。
ちょっとよろけたふりをして横に座る。
「いやー。蒸しますね。もうすぐ長い梅雨が来そうな位」
知らない人との会話する時の話術その一。質問しないこと。
「いや、これくらいがいい。草木も茂るだろう」
「農業関係は今一番儲かる職業らしいですね」
「農業!?そりゃないよ。儲かるなんてもんじゃない。一生苦労しないで暮らせるな」
「農家に転身しましょうかね」
「そりゃ無理だろう。キミだってそれぞれ領分というのがあるだろう。まあ、水筒の水でも飲むか」
ほら、ね。ちなみにこの世界では水は貴重である。すでに水道が止まって1ヶ月ほど。コンビニの飲み物は底をつきかけている。そして、水を運ぶのは重いのだ。
遠慮無く、喉をならして飲んで、薦めたことの後悔が男の顔に浮かんだのを見た。
いいのだ。印象に残ることが大事。皆だって日々たくさんの人に会うが忘れてしまうだろう? ポイントは記憶に残る事。そして俺は、なんかこの人強そうだな、という予想をもとに近づいたのだった。
仲間候補である。




