表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/118

暴露

 俺は玲子さんの首にナイフを突きつけていた。

 首筋にめり込んだ銀色の刃がわずかに薄皮を割いてピンク色の肉がめくれ上がっている。

 出血は、まだない。


「いいよ? 殺せば?」

「話がしたいんだけど」

「話?今何してるか分かってる?」


 俺は人とは生きてはいけない。それは持って生まれた特性にある。


「俺は今、玲子さんを殺しても多分落ち込まない。もう気がついていると思うのだけれど、空気が読めない。皆がなに考えてるか分からないから丁寧に接している。」


「だからゴメンて言ってるじゃん!」


 楽しみにしていたショートケーキが消えたのだった。ただのショートケーキじゃない。この世界で食べられるであろう最後のピュアピュアなショートケーキ。それも何かあったときのために冷凍保存していた虎の子をあろうことか、この人は俺に見せつけるように食べたのだった。


 名前かいてなかったから食べたとのこと。

 ちょっとまて。なんでこんなに人は残酷になれるのだ!?

 俺の、楽しみにしていた、このゾンビだらけの世界のピュアショートケーキを!!!


「また作ればいいじゃん」

「俺が料理なんて高尚な技術を持っていると思うか?あ?」

「私できるけど」


「……」


「ケーキ作れるケド……」


 マジでね、他の人と生きる理由。それは、自分に何ができて何ができないかだった。

 俺は米から爆弾までの製作と、ちょっと武器が使える。


 彼女は料理ができると言うのだった。


 蛇が毒牙をしまうようにしてナイフを手に隠した俺は満面の笑みで彼女の説得にかかる。


「びっくりさせてごめんなさい」


「あんた頭おかしいよ!!なんで笑ってんの!?」


「基本的に笑顔は相手を油断させるために作っていると思ってほしい」


「あんまり私の目を見て話すな!怖い!」


 俺は相手の気持ちを良く理解できないという特性を持って生まれた。だから相手の気持ちを知るために目を覗き込む癖があった。


 湖みたいな目だ。透明な水晶体の向こうに黒い色素の光り受容体がある。レーザーセンサとほぼ同じ構造。

 俺は人間といるとストレスを感じてしまう。ヤマアラシもびっくりの、寄り添うこともできない化物だった。


 だがたまたま、この世界では無敵だった。


 ドン引きしながらケーキ作りに取りかかってくれたナカマの背中を見ながらそんなことを思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
今35話追いつきました! 旧版ノクターン移転前から読んでます! ねっしーさんがふんふん鼻歌歌いながらゾンビを書いているのが伝わってきて読んでる私もワクワクします! 更新楽しみにしてます! 玲子さん、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ