表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイドルの裏の顔?  作者: 中腸腺
5/15

ねらいうち?

ラスボス登場?回です。

「ただいま。」

ドアを開けて楓が車内にはいってくる。

「おかえり、早かったのね。」

マネジャーはとくになんの感慨もなく声をかける。楓がヤクザの屋敷に侵入してから30分しか経っていない。

「ターゲットは?殺ったの?」

楓に限って仕損じることはないと思いつつ、一応確認する。

「ああ、」

素っ気ない肯定を返す楓にマネジャーが訝しげな表情になる。彼女と楓は付き合いが長い、態度でなにかがあったことは容易にわかる。

「…楓、何があったの?」

マネジャーの気遣うような素振りに苦笑しつつ、

楓は先程あったことを思い出す。

「あんま気分のよくねぇ話だ。あたしからしたら。」

そう、前置きして、語る。


畳敷きのだだっ広い部屋のなかで、楓はヤクザの組長を縛り上げていた。

「とりあえず今は銃がねーから殺すのめんどいし拘束させてもらうぜ。」

「ぐっ…」

下敷きになっている男がうめきながら楓をにらむ。どうやらこいつはまだ状況を理解していないらしい。…イラつくな。と、楓が表情を歪ませる。

鈍い音をたてて楓の拳が男の顔面にめり込む。「がぁっ!?」

鼻血が飛び散り、男は殴られた反動で床に頭を打ち付ける。

「あのなぁ、オメー、今の状況わかってんのか?

オメーはもう組長でも何でもねーんだよ。おまえの生殺与奪はいま、あたし次第なんだよ。ほらっ媚びろ、解ったら媚びろ。どっち道殺すけど。」

殴る、殴る、殴る、続けて何回も拳を振り下ろしながら呆れたような表情で楓は脅しをかける。

「がっあ…やめっ。」

徐々に男の悲鳴に泣きが入って来たので、楓が打擲を止めようとした、そのとき。


男の、頭の右半分が、消失した。

「!!」

楓は咄嗟にその場から飛び退く。数瞬遅れて、間延びした破裂音あえて擬音で表現するならターンッやダァーンッといったところか。そして、間を置かずに先程まで楓がいた場所が大きく爆ぜる。また、破裂音。

(バーレットM82!?)

その音―――銃声が続けて聞こえてきたことと威力から楓は襲撃者の使った銃の目星をつける。


バーレットM82はセミオートのアンチマテリアルライフルである。アンチマテリアルライフルとは

対物破壊用に凄まじい威力と射程を持ったライフルであり口径12.7ミリと、特大のライフル弾を使用する。とくにバーレットM82は、セミオートのため、速射性に優れ、独特の衝撃吸収機構により扱い易い。銃口部に、後方に向かって開口部が設けられ、発射のガスが反動を軽減するのだ。


(クソッたれ!!それ日本で使って良いもんじゃねーだろ!!)


バーレットなど、海外の軍隊でしか使われていない。平和な日本で使うものでは、断じてない。至近距離で放てば人の体を真っ二つにする威力などSATでもお手上げだろう。物騒すぎる。

その凶悪な威力が自分に向けられていることに対して、楓は心のなかで盛大に舌打ちしながら、相手の射線からのがれるためにマネジャーのいる車へと向かった。


「っつーわけで獲物は横取りされて、命からがら逃げてきたってわけだ?」

車のなかで楓の話を聞きながら、マネジャーは苦々しい顔をしていた。

「厄介な相手ね…バックにかなりの大物が潜んでそう。」

ハンドルを操作しながら、マネジャーは忌々しそうに吐き捨てた。

まぁ、そうだろう。個人でバーレット用意出来るやつが日本にいたらそれこそヤバい。かなりのコネと権力だ。どこか、そういった武器密売のルートを確保出来る組織が裏にいる。そうかんがえるのが自然か。

しかし…かなり腕が良かった。発射された弾丸というのは音の数倍の速度で飛んでいく。バーレットなら秒速約850メートル。つまり、着弾から音が聞こえるまでのタイムラグで狙撃手とのおおよその距離がわかる。

(大体、2キロってとこか。射程ギリギリで当てるとはな。)あの腕ならだれでも子飼にしてたいだろう。後ろ暗いところのあるヤツなら、特に。などと楓はひとりごちる。…というか、わかる、などとは言ったがこの計測法で距離を計るにはコンマ数秒単位での時間の把握と面倒な計算、銃のスペックにたいする深い知識などが高いレベルで求められるのだが、さらりと導き出すあたり楓も大概である。

「また、出てくるかしら?というか、今は危なくないの?」

マネジャーが心配そうにたずねる。

「さぁね、知らんよ。ただ、今は大丈夫だろ。やる気だったらもうとっくに二人とも頭吹っ飛んでる。車が止まってるうちにピチュンだよ。」

バーレットの射程は2キロ以上にも及ぶ、当然、先ほどまで車を停めていた場所もキリングゾーンだ。

「…そう。」

そんな会話をしつつ、二人は心のどこかで確信していた。ヤツは、きっと、また、自分たちの前に現れる、と。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ