第22話(超能力?)
かくして先生はウインナーのまま、コタツの上の皿の上に放置。
あたしが真さんの首を絞めにかかると、「ぐ、ぐるじい。だ、大丈夫。半日くらいしたら元に戻るから」と真さんは答えた。
半日。
明日は学校が休みでよかった。
「先生……」
あたしは床でオイオイと泣いた。
間違えて鍋に放り込んだらどうしよう。
「さて。もう遅いね。君たちを家まで送っていくよ」
真さんは立ち上がって寿也たちを見下ろした。そして上着を着始める。
「悪かったね真木ちゃん。岩生なら大丈夫だから。岩生も別に今回がこんな事 初めてじゃないし。笑って諦めてそして泣いて嘆いているだろうから」
と、床で泣いているあたしの頭をポンポンと軽く叩いた……。
先生、かわいそう……。
「それじゃ、送って行こう。真木ちゃんも行こう。一人残して行くのも何だし」
「いえ。一人でも大丈夫です。先生が哀れすぎて。猫にでもイタズラされたらと思うと」
と、あたしは断った。
真さんは「そうか」と言って玄関へ。
寿也と千歳くんも上着を着て後をついて行く。
「ごちそうさま。スキヤキ、おいしかった」
「じゃあ。ありがと」
2人と真さんは外へ出て行った。
残されたあたし……と、ウインナー。ポツンと、一気に部屋の中が淋しくなった。
「はあ……」
ため息、とウインナー。
何だか、とっても疲れちゃった。
「それじゃ、俺はココで。ありがとうございました」
と、千歳少年はペコリと頭を下げた。そして走り出そうとする前に、
「寿。また会いに来るから! 電波も飛ばすから! またね!」
そう言い残して駆け出して行った。
「変な奴に好かれたもんだな、寿也くん」
「……」
千歳少年を見送って、2人は しばらくそのまま突っ立っていた。
「さて行こうか、君のウチ」
寿也は横目で真を睨んだ。とはいっても、軽く。
「そんな目をするな。誰にもしゃべらない。俺は言った通り、賢い子供だと思っただけだ」
「……」
寿也は黙ったまま。
「人間にも超能力を持つ人間は多く居る。ミルキーの中にもそんな奴が居たって、おかしくは無いだろう?」
「そんな話はどうでもいい。さっきは上手くかわしてくれたからいいけど、真木の事」
「ああ、真木ちゃんね。……君が真木ちゃんの王子様なのは ようくわかったけど」
「……」
寿也は、頭を抱えた。すごく、悩んでいる。
「どうした少年。安心しろって。誰にもしゃべらないから」
「そうじゃなくて……どう誤解を解こうかと……ああでももう、隠さなくてもいいか。あんたには」
寿也が そう言うと、今度は真の方が態度を変えた。「どういう事かな」
寿也は諦めたように振り向いて言う。
「次回に続く」