✒ 小さな旅仲間
──*──*──*── 1週間後
ログハウスで滞在してから1週間。
マオキノに保護されて献身的に看病されていた子供は意識が戻って、元気を取り戻していた。
今はマオキノ達と一緒に身体を動かす遊びをながらリハビリをしている。
子供の名前は沙悟浄って言うらしい。
猪八戒さんが沙悟浄の妖術を調べたら、水術と氷術を使える事が判った。
今回は氷術が暴走して雹を降らせていたらしい。
沙悟浄は猪八戒さんの話を聞いて、弟子になる事を決めたんだ。
仙人に対しては、今一ピンと来てないみたいだったけど、妖術を使いこなせる様になりたいみたいだ。
旅を一緒にする訳だから、玄奘さんが読み書き、オレが算術、猪八戒さんが妖術関連、セロが教養,礼節,常識,良識,モラルなんかを教える事になった。
あのセロが礼儀作法,教養,礼節,常識,良識,モラルを教えるって、不安しかないんだけどぉ~~。
──って言うか、この時代の礼儀作法,教養,礼節,常識,良識,モラルってのをセロは知ってるのかよ?
流石に子供相手にスパルタはしないよな?
そんな訳で、旅の仲間に沙悟浄が加わったんだ。
大人にも大変な長旅だから当然、子供にも過酷な旅になるだろう。
まぁ、マオキノがサポートしてくれるから、困る事はないけどな。
旅を再開させるのは、沙悟浄のリハビリが終わってからになる。
面倒を見ているマオキノが「 よし 」を出さないと旅が出来ない訳だ。
何日後に出発する事になるんだろうな?
──*──*──*── 10日後
漸くマオキノからの「 よし 」が出た。
どうやらマオキノはリハビリと称して沙悟浄に乗馬を仕込んでいたみたいだ。
まぁ、乗れないよりは乗れた方が良いもんな。
猪八戒さんは体格的に乗馬は無理だろうけど~~。
痩せるのは無理なのかな?
猪八戒
「 ──沙悟浄、行くでぇ 」
沙悟浄
「 はい!
御師さま! 」
沙悟浄は元気に返事をすると嬉しそうに駆けて来る。
マオキノは沙悟浄が乗る小型の〈 馬人形 〉を用意している。
沙悟浄用の〈 馬人形 〉の手綱を持つのは師匠の猪八戒さんみたいだ。
マオキノは沙悟浄が〈 馬人形 〉に乗る手伝いをする。
流石に未だ1人では背中に乗れないみたいだ。
なんて微笑ましい光景なんだ。
玄奘さんも〈 馬人形 〉の背中に乗って跨がっている。
出発の準備は万端みたいだ。
セロフィート
「 全員、揃いました?
下山しましょう 」
ログハウスの管理と経営に1体のキノコンを残して、ハイキングの為に整備された山道を辿って下山を始めた。
ログハウスの上にもハイキングの為に整備された山道が続いていて、休憩用の山小屋が建てられている。
山小屋の管理するのはキノコンだ。
整備された山道を下山するとログハウスが見えて来る。
ログハウスに入ったら受け付けで名簿に名前を記入する。
ログハウスを出たら森の中に作られたハイキングコースを歩いて森の外に在るログハウスを目指すんだ。
因みにログハウスでは、食事休憩や宿泊の手続きをすれば、自由に利用する事が出来る様になっている。
森の中に作られたハイキングコースは3コース有るらしい。
1コース目は直線で1本道の初心者向けコース。
2コース目は揺るやからな曲がり道の中級者向けコース。
3コース目は大回りして森林浴を堪能する事が出来る上級者向けコースだ。
森には猛獣が棲息しているけど、ハイキングコースに近付かない様にキノコン達が森の中を巡回しているらしいから、ハイキング客が襲われる心配は無いみたいだ。
ハイキング客を襲わない様に離れた場所に水場や餌場を態々作ったらしい。
キノコンは怪物だから、動物との会話は出来ないみたいだけど、何と無くなら通じ合えるらしい。
その内に動物と対話が出来るキノコンが誕生しそうな気がする。
キノコンは何処まで進化するんだろう……。
沙悟浄
「 御師さま、何処へ向かってるの? 」
猪八戒
「 ≪ 秉凋の村 ≫やでぇ。
まぁ、妖怪に襲われてなければやけどな 」
沙悟浄
「 妖怪……。
…………どうして妖怪は人間の≪ 村 ≫を襲うの? 」
セロフィート
「 ふふふ…。
沙悟浄さんには、師匠と目上の者に対する言葉遣いも教える必要が有りますね 」
マオ
「 未だ子供なんだから程々にしてやれよ? 」
セロフィート
「 はいはい 」
猪八戒
「 妖怪達を狂わせる事件が起きたからや 」
沙悟浄
「 事件……?? 」
猪八戒
「 沙悟浄には歴史も教えんとな。
今から約40年前は妖怪と人間は仲良しやったんやでぇ。
互いに手を取り合い、共栄共存しとったんや。
せやけど──、牛魔王の4男坊が亡くなっなんや。
妻の鉄扇公主が夫を生き返らせる為に “ 牛魔王蘇生実験 ” っちゅうとんでもない実験を始めたんや。
その悪影響を受けて妖怪達が正気を失ったんや。
狂暴化して人間を襲う様になり、妖怪は人間の敵になってもうたんや 」
沙悟浄
「 ………………じゃあ、妖怪と人間は仲良く出来ないの? 」
猪八戒
「 難しいやろなぁ。
人間から見たら妖怪は完全に敵認識されてまっとる。
認識を変えるっちゅうんは時間が掛かるんや。
狂ってまった妖怪は理性を取り戻せへん。
子孫を残す為には人間の女を襲い、連れ去って強姦するやろうしなぁ…… 」
沙悟浄
「 …………産まれた子供も人間を襲うの? 」
猪八戒
「 そやな。
人間の血より、妖怪の血の方が強いさかいな。
個人差は有るやろうけど、終いには理性を失うやろな。
人間と心を通わせられるのは、ほんの一時だけや。
一緒に暮らしとったら襲われて死ぬわ 」
沙悟浄
「 ………………でも、僕は狂ってないよ。
僕も妖怪なのに……。
御師さまも狂ってないよ 」
猪八戒
「 ワテは仙人やからな。
妖怪みたいに正気や理性を失う事はあらへん。
沙悟浄もやで。
沙悟浄の片親は仙人や。
そやから、沙悟浄には仙人の血が流れとる。
妖怪の様にはならんのや。
沙悟浄の様に仙人の素質を持っとる妖怪は、探せば他にも居るんやで。
何処で何しとるんか分からへんけどな 」
セロフィート
「 沙悟浄さんの様な妖怪をキノコン達に捜索させてます。
≪ 村 ≫もキノコン達に作らせてます。
≪ 天竺 ≫に到着した後、別行動になるでしょう。
興味があったら立ち寄ってみてください 」
沙悟浄
「 うん!
僕と同じ妖怪に会える…… 」
猪八戒
「 先ずは無事に≪ 秉凋の村 ≫へ到着する事やでぇ 」
マオ
「 そうだな。
≪ 犖榮の街 ≫を出たら、いよいよ第2の関所がある≪ 都 ≫を目指すんだよな。
どんな名前なんだ?
牛魔王の名前が付いてるんだろ? 」
玄奘三蔵法師
「 マオ殿は気が早いですね 」
マオ
「 早目に知っときたいじゃん 」
猪八戒
「 ≪ 煬瓏の都 ≫やでぇ。
牛魔王の5男坊が治めとった≪ 都 ≫や。
今はキノコンはん達が≪ 都 ≫の復興作業をしとるんやろうな 」
セロフィート
「 そうですね。
以前の≪ 煬瓏の都 ≫とは見違えっている筈です 」
マオ
「 楽しみだな~~ 」
確かに気が早い気もするけど、先が分かっていると不安が解消されてワクワクするんだ。
右も左も何も分からなくてもワクワクする人も居るんだろう。
羨ましい気持ちもあるんだよな~~。




