表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鳥になる  作者: 雨世界
3/11

3 鳥になって、世界を超える。

 鳥になって、世界を超える。


「こんにちは」と私は黒い鳥に挨拶をした。


 すると黒い鳥は「君はどこまで飛んでいくつもりなんだい? 僕はこのまま、海を越えようと思っているんだけどさ」と楽しそうな声で私に言った。


 私は「今はまだ、目的地はないんです。ただ、空を飛んでみたいと思って、空を飛んでいるだけなんです」と言った。


 その私の言葉を聞いて黒い鳥は「……ただ飛びたいと思って飛んでいる、か。うん。いい言葉だね。なんていうかすごく『イノセンス』だ」と言った。


 その黒い鳥の言葉は褒め言葉なのか、あるいはそうではないのか、私には判断できなかったので、私はにっこりと微笑むだけで、なにも言葉を話さなかった。


 それから私はその黒い鳥と友達になって、二羽で一緒に少しの間、広大な青色の空の中を飛んだ。


「じゃあ、僕はこの辺りで。いい旅を。お嬢さん」と黒い鳥は別れ際に私に言った。


「あなたも気をつけて。いい旅を」と私は言った。


 それから私たちは空の中でお別れをした。


 でも、それからすぐに黒い鳥は一度、私のところに戻ってきて、「ごめん。一つだけいい忘れたことがあった」と私に言った。


 私は「それはなんですか?」と黒い鳥に答えた。(もしかしたら、恋の告白かもしれないと思った。もしそうだったらすごく素敵だ)


 すると黒い鳥は少しだけ間をおいてから、「この先に進むとしたら注意したほうがいい。『きっと夜には嵐になるよ』」と私に言った。


 それだけいうと黒い鳥は今度こそ本当に私の元から去って行った。


 それ以来、私がこの黒い鳥と再会することは、もう二度とないことだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ