ご主人様は価値ゼロ(サイコー)!
ギィ……ギィ……。
地下牢の鉄扉がきしむ。
そこは、かつて暗影帝国が使用していた極秘拷問施設。
かつて――そして今も、最も危険な愛情が渦巻く場所。
中央に立つ、紅の女。
黒革のボンテージ調バトルスーツに、ドリルのような巻き髪。
甘い笑みを浮かべながら、彼女は悦びに震えていた。
ルジェ・アークハート。
元・闇の軍団幹部。現在――ネオ専属ドS忠犬。
「うふふふ……ようこそ、ネオ様っ。今日も“再評価”の時間ですよぉ?」
目の前にあるのは、ネオ型ダミー人形(評価ゼロ)。
つまり、彼女にとっての理想の恋人である。
「“価値ゼロ”……“承認されない存在”……ッ! あああ、なんて無様で、なんて完璧なんでしょうッ!!」
ルジェは両手を広げ、拷問器具の並ぶ部屋をぐるりと見渡す。
「評価で支配される世界? 上等じゃない。なら私は、支配されない“ネオ様”に支配される側に回るだけッ!」
「だってぇ……! “ゼロ”ってことは、私だけが価値を与えられるってこと、でしょ?」
彼女の脳内では、すでに千回のラブレターが書かれている。
内容はすべて、“無価値なネオ”をどれほど愛しているかという倒錯的純愛。
(ネオ様は、誰にも評価されない……最高……!)
(私だけが、理解し、拷問し、愛し、餌付けし、排泄物まで管理するの……尊い……!!)
そのとき。
部屋の隅に設置されたモニターが、ぴこんと鳴る。
【ネオ:また迷子になったっぽい】
【現在地:聖王国・女子浴場裏の壁の裏の裏】
ルジェの頬が染まる。
「……また、そんなとこに迷い込んで……やっぱりネオ様は価値ゼロッ! 愛おしすぎるゥ!」
彼女は背後の壁をガンッと殴る。
現れたのは、緊急転送装置:ネオ監禁ポータル。
「……今夜こそ、ネオ様に“マイ評価”を叩き込むわよ?」
目がイッたまま、笑う。
「なぁに、“痛い”のは最初だけ。すぐに快感に変わるわ。評価なんてくだらない。私が定義するのよ、あなたの価値を!」
「さあネオ様……拷問、始めましょうか」
──その夜。
ネオはまた何もしていないのに、評価が上がっていた。
【ルジェからの評価:無限大(狂愛)】
【新称号獲得:「女幹部のゴミ箱(ラブ仕様)」】
ネオ「……俺、何もしてないのにな……また……」




