合法ロリ、祝福を解剖する
地下ラボ。
無音。無菌。無神経。
この部屋には、笑いも泣きも、感情すら存在しない。
ただ、あるのは“観察”と“分解”と――“理解”。
「ふふふふふふふふふふふ……」
唯一響くのは、少女のかすれた笑い。
ミミ・クロックワーク。
年齢120オーバー、外見合法ロリ。
感情希薄な天才科学者にして、“祝福”そのものを疑う唯一の存在。
「祝福って、壊したらどうなると思う?」
その問いは、天使の口から放たれた悪魔の呪文。
目の前の台には――ネオの「評価反応ログ」がホログラムで展開されていた。
通常、評価はスキルや魔力として現れる。
しかし、ネオだけは――ログが“無評価”にもかかわらず、“勝手に世界が反応している”。
「つまり、評価は“入力”ではなく“出力”の可能性がある……」
ミミは唇をなぞる。
「それなら、出力装置――つまり、祝福システムの中枢に物理的に接続して、“神のI/O”を見てみたい……」
そして、彼女は――笑った。
感情がないはずの彼女が、狂気じみた熱を宿すとき。
それは、世界にとっての警鐘だった。
ガシャン!
「被験体A、セラフィーナの祈りログ、収集完了」
「被験体B、メルティアの観察ログ、収集完了」
「被験体C、ネオの“評価ゼロバースト”再現用素体、作成中」
自作のホムンクルス(スライム型)をネオの模擬人格として再現しはじめるミミ。
「さぁて……祝福解体ショー、開幕といこうか」
その瞬間――
施設全体が微かに揺れた。
ズゥゥゥゥ……ン……
「……ッ、反応が逆流してる?」
表示されたホログラムが異常な速度でバグりはじめる。
評価値が“∞”と“NaN(未定義)”を交互に繰り返す。
「バグじゃない。これは――応答だ」
ミミは顔を上げた。
「システムが……“誰か”に対して、答えようとしてる」
それは、ネオへの返答か。
それとも、“祈りを超える者”――セラフィーナへの対話か。
「まだ足りない……もっと見たい……!」
狂気と純粋。
破壊と好奇心。
ミミ・クロックワーク。
この少女こそが、評価社会を解体する最初の歯車だった。




