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27話・ロゼッタ、公衆トイレは異臭の発生源だった

 待合所を通り過ぎ、私達は教会へと向かう。

 教会は馬車置き場が無いらしい。

 基本皆平民だから徒歩なんだって。なので馬車置き場を作る必要が無いのだとか。

 司祭さんは? へー、歩きなんだ。

 最高司祭は貴族街の方にある教会に居るらしいのでここに居る神父さんやシスターには馬車は無縁なのだとか。


 うん、ここなら礼拝しに行くくらいはできそう、かな。馬車はちょっと広い場所で待って貰っておけばいいし。護衛さんと私とリオネッタの三人だけ降りて教会入ってみよう。

 と、思ったのだけど、説明だけを終えたおっちゃんは、そのまま公園へと向かっていく。

 降りたいのだけど? と聞いてみたら、今は丁度ミサの最中だから貴族が入ったりすれば大混乱になるらしい。ミサの日時を教えてくれたのでそれが無い日に向かってみよう。


 結局今回馬車の中だぞずっと。

 せめて公園くらいは降りたいな。という私の我儘で、公園に付いた私達はようやく大地に足を付けることが可能になった。

 吐きそうです。お尻痛いです。そして公衆トイレとやらが離れた場所から臭います。めっちゃ臭い。

 これ、ちゃんと掃除してる?

 


「公園なのに人が居ない……」


「臭ぇだちょな。さすがに集まらんがよ。平民だって臭いのは嫌だぁ」


 そりゃそうか。

 でもトイレが臭う以上、ここを掃除しないとどうしようもない。

 でも絶対ヤバい菌だらけだよね。

 下手したらペストとかありそう。

 早急になんとかしたほうがいいよコレ。


「公園というか、トイレってここだけ?」


「公衆トイレはここだけだちょな」


 ならば少しは安心か。

 でもここを何とかしないとだよねー。この世界で黒死病とか蔓延し出したら絶対国滅ぶし。

 危険な芽は早めに摘んどくべきだな。


 冒険者ギルドで依頼出しとくか?

 いや、まずは手袋などをゴムで作れるようにだよね、商業ギルドかな?

 でもゴムって生産されてるのかな? 無理か。さすがに硫黄混ぜるとかゴムの木とか発見すらされてない可能性高いよね。

 ゴム製品見掛けたことないし。


 魔法でなんとかできないかな。これもいろいろ調べないとだね。

 一応お父様に報告だわ。公衆トイレが汚すぎて病気が蔓延するって伝えないと。

 お父様から王様に……いえ、むしろ第三王子にお願いした方が王様の耳には届くか。

 これもメモしとかないと。

 

「お嬢様、先程から何を書いているのですか?」


「え? ふふ、メモよメモ。気付いたこととか思いついたことを書いているのよ」


「あの、読めないですけど?」


「え……あ、ああ、暗号よこれ」


 一瞬素で驚いたけど、そうだった。

 ここは日本じゃないのだ。日本語で書かれた文章は普通に暗号として認識されるらしい。

 この世界にはこの世界の言葉があるんだよ。

 でも気のせいかな、ローマ字っぽい文字なんだよね。たまに英語っぽいのも混じってるけど。


 まぁ、私としては覚えやすいからいいんだけど、たまにローマ字と間違えるんだよね。微妙に違うから前知識が邪魔して間違えるのだ。

 リンゴのことAPPLUだと思ったらAPPORUだったり、微妙に違ってちょっと困る。

 アッポルと書いてアップルと発音するんだ。ややこしいよね。


 公園での改善すべきことをいろいろと書きまくって、一通りの質問に満足した私は、馬車へと戻る。いや、戻ろうとして思いついた。

 除菌というより汚物と人体に危険な菌だけを喰らう菌を一日だけ生きるように生成して、魔力を込める。ふっ、これが現代チートによる知恵魔法なのだよ。

 球状にして、トイレに向けてぇ……そいやさっ!


「お嬢様、今、今何したんですかっ!?」


「ナニモシテナイヨ。良い悪役令嬢だよ、ぽよぽよ」


「やりましたね!? やったっすね! 何したんっすかぁ!?」


 涙目で私の肩を掴んで揺するリオネッタ。

 こらこらメイドさん、主人に問い詰める方法がちょっと手酷くはないのかね?

 あはは、こら、やめなさーい。


 帰りの馬車はまだ地獄だ。

 気分悪いし、吐きそうだし、皆青い顔で早く帰りたいといった雰囲気を醸し出している。

 おい護衛のおっちゃん、一番にダウンしちゃダメだろ。

 あとリオネッタは別な意味でダウン中だ。頭抱えてどうしようと青い顔している。

 そして私はリオネッタに全身揺らされて吐きそうだ。外に吐いちゃおうかなぁー。うぷ、あかん、口からイケないキラキラが漏れそう。


 屋敷に戻ってくると、即座にトイレに向かう護衛のおっちゃん、私の護衛はどうする気だ?

 まぁ、敷地内だから安全なのだろうけども。

 家に帰りつくまでが仕事なんだぞ。サボりでいいのかな?


「あ、お嬢様、リオネル様がいらっしゃってますよ」


 屋敷に戻ると、メイドの一人が伝えて来る。

 噂をすれば、だな。今日早速提案してみよう。


「ではリオネッタ、お茶とお菓子の用意を」


「かしこまりましたお嬢様」


 ッスはつけないのか。なんかそっちの方がリオネッタっぽいんだけどなぁ。強要してみようかな? さすがにそれはマズいか。


「あ。お待ちくださいお嬢様。何処に行っていたかは分かりませんが、少し臭います。香油を使うか湯浴みをした方がよろしいかと」


「まぁ、臭いを連れて来てしまったのね。では、あなた、湯浴みの用意をお願いしてもよろしくて? あとリオネル様にもう少しだけお待ちいただけるようお願いできるかしら?」


「はい、湯浴みの準備は既にセバスタン様がなさっておられます。お風呂場に向かっていただければ係の者が待機しております」


「分かったわ」


 さすがセバス。何があるか事前に知って用意してくれていたか。執事の鏡だ。

 ところでセバスたんってどこの誰? 初めて聞いたよその名前。

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― 新着の感想 ―
なんで家令や筆頭執事はセバスホニャララが多いのか。元ネタのセバスチャンってなんの作品とかにいたのかわからなくなってきた。年はとりたくないものです。
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