後日談:???、神に成った少女
SIDE:ジェームス・ライデンノット
その生涯は、あまりにも突飛で、常人には理解できない人生だった。
我々、彼女の人生をしっかりと調べた者たちであろうとも、彼女の起こした奇跡はあまりにも常識と乖離しすぎており、現実のことだとは思えない。
多少、いや、やり過ぎなくらい話を盛ったのではないか?
そう思うだろうが、この書物を見た方々よ、心してほしい。
これは彼女が起こした事実であり、彼女は実際にこの全てを行ったのだ。
決して誇張ではなく、妄想でもなく、虚言でもない。
彼らは実際に、私たちの一万年以上前に実在し、数々の奇跡としか言えないモノを日常的に引き起こしていたのである。
ロゼッタ・ベルングシュタット。
ベルングシュタット家に生まれ、リオネル・ライオネルと婚約をした少女である。
ただし、これから記すものは彼女本人のモノではあるが、もともとのロゼッタ・ベルングシュタットではない。
混乱するかもしれないが、前提条件を事実として読み進めてほしい。
8歳のとある日、庭でリオネル・ライオネルと遊んでいた彼女は転倒して額から血を流すほどの怪我を負った。その時に、遥か別世界で生きた前世の記憶を呼び起こしたのである。
そしてこの時を以て本来のロゼッタ・ベルングシュタットは休眠状態となり、後のロゼ・ベルングシュタットになるまで彼女の中で眠り続けるのである。
ライオネル跡地より見つかった伝説の書物、マルコ・ポロポロ見聞録によれば、幼少期入れ替わったロゼッタはラジオ体操と称する不思議な踊りを踊りだし、それまで一切行わなかったランニング、パルクール、ロッククライミングなどの運動を行いだした。
さらに魔法に興味を示し、初めての魔法使用はファイアーボール。
いきなり出てしまった魔法に慌てて投げ捨てた彼女は、唐突に上がったレベルに驚く。
どうやらファイアーボールは放り投げた先が町を抜けたフィールドで、ゴブリンを相手に戦っていた冒険者たちを救ったようだ。
見聞録ライリー編によれば、ゴブリン相手に死にかけていた彼のパーティーは突如上空より飛来した火炎弾により窮地を救われたとのことで、時期的に彼女の放ったファイアーボールである可能性が非常に高いらしい。
また、魔王ボーエン編に、魔法の家庭教師としてベルングシュタット家にやって来た彼は、ロゼッタに今できる最高の魔法を見せてほしい。と言った。ロゼッタはこれに無数の属性ボールを収束させる攻撃魔法で応える。
その威力は放たれた遠くの山一つを吹き飛ばし、そこに住んでいた魔物全てを殺し尽くしたとされている。この時ロゼッタは急激なレベルアップに悲鳴を上げて気絶したそうだ。
後に、レベルは500程上がっていたとされている。
現代世界のレベルでは最大100まで確認されているが、それ以上のレベルに上がるとなると、どれほどの魔物を殺さねばならないことか、ロゼッタがいかに恐ろしい魔法を放ったかが伺い知れるだろう。
また、これによりレベルが上がったロゼッタによるハチャメチャな生活が始まるのだが、順を追って一つづつエピソードをつづらせて貰おうと思う。
……
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こうして、神の理不尽な戦争はロゼッタが神格を得ることでロゼッタ側の勝利となったのである。
詳しい映像に関しては神々の戦争ロゼッタ神の覚醒という映像を見てほしいと思う。さすがに伝説的な映像であるために滅多に放映をされないものの、見るモノに衝撃を与える一万年前に本当に行われた神々の最終戦争は、一生に一度は見ておきたいものである。
神話戦争を終えたロゼッタに、リオネルが告白を行うのだが、この時共に居たロゼに神は結婚を譲ったのである。
これによりロゼッタ神は処女神としての権能を、そしてキューピッドとしての権能を得たとされている。
リオネル・ライオネルはロゼ・ベルングシュタットを末永く愛し、彼女の死により、二人の愛が分かたれるまで、常に傍で彼女を幸せにし続けたのだとされている。
また、ロゼの死後、リオネルは唐突にこの世界から存在を消したようで、伝承は残っていない。
リオネルの生涯映像に最後、ちらっとだけ映る漆黒世界の映像でのみ、彼のその後が記されているため、筆者の推測でしかないのだが、彼はロゼッタ神教教祖の協力の元、神格を経て神へと至り、神話戦争後に果たせなかった、ロゼッタ神と生きる決断をしたのではないか、以後はこの世界の守護神として、常にロゼッタ神の隣に侍っているのではないかと思われる。
最後に、このとんでもない人生を送ることになった数奇な運命を持つ少女と、それに振り回されながらも彼女に付いて行った者たちの子孫の一人として、私は賞賛を送りたい。
神に勝利してくれて、ありがとう、と。この世界を続けてくれて、ありがとう、と。
追伸、先日ライオネル世界防衛軍のメンバーに会う機会があり、この世界には当時の生き証人がまだ数名存在していると知らされた。今後も彼らに話を聞き、より詳細的な歴史書を編纂したいと思う。
著 ジェームス・ライデンノット




