後日談:アルマティエ、聖女たちの休息
SIDE:アルマティエ
「きょーもおつかれー」
テーブルに突っ伏しているサクリファの元へと私はやって来た。
ライオネル王国が新しく生成されたついでに、双神教改め妹神を祀る神殿として純愛神教会としてライオネル王国に本部が置かれることになった。
双神教の総本山であるアルカエスオロゥ国も滅び去った後なので仕方ないとはいえ、二大宗教の本部がライオネルにあるというのは如何なモノだろう?
向こうの巫女さんと相談してみたんだけど、別に競合しないですし問題ないのでは? ということになった。
まぁこっちの神様は来るもの拒まず好きに祈って好きに信仰してって感じだしね。
ロゼッタ神教は、なんかもういろいろと凄い。
まさか私たち聖女にまで隙あらば改宗しませんか? とか言ってくるから恐怖だよ。
ロゼッタも。あそこ迄やらかしてたら天罰墜とすんじゃない? 今はさすがに把握してないか。
巫女ちゃんと十二使徒だっけ? 彼らが上手い具合に狂信者たちの手綱を握っているうちはあの宗教が暴走することはないだろう。
まぁ最悪の場合は神様が直で来るだろうから問題ないだろうし。抑止力としてはキーリやライオネル兵がいるからよほど目に余るようなら粛清してくれるでしょう。
聖女がやることはそこまで変わってないとはいえ、私もサクリファも連日連夜お疲れモード。それというのもマンダブル司祭や最高司祭だけじゃなく、他国に散らばっていた司祭たちがこぞってここにきているのが原因だ。
まだ各国の建国がすんでいないのでそこに戻れていない司祭たちがここで業務をこなしているのだ。おかげでいつもよりも多い人たちの前で祝詞を唱えたり、彼らと会議をしたりなどで精神的な疲労がピークになっているのである。
「あー、疲れたぁ」
「失礼皆様方、プライダル商店よりプリンの差し入れが届いております」
「おぉー。ありがとホーエンハイムさん。いやー。これよこれ。ぷるっぷるのプリン様」
「生き返りますぅ」
お、サクリファ復活。
ほらほら、お口あーん。
「あむっ、んふーっ、アルマティエ様ぁ、美味しいですよぉ」
「そうでしょうそうでしょう。ほら、スプーン持って、自分で食べれる?」
「食べます!」
元気になったようで良かった。
私も別のスプーンを持って新しいプリンを頂く。
「ほら、貴女も食べなさいよ」
「……はぁ」
私に促され、私の対面に座る女もまた、緩慢な動きでプリンを一口。
「うまっ。これプッチン……いや、でも、なんで?」
一瞬目を見開き驚いた後、次々にプリンを食べていく。
そういえば、こいつも前世持ちなんだっけ?
「それにしても、あなたも随分悪運強いわね」
「死んだはずだよ聖女さん。あはは」
「笑いごっちゃないわよ。ほんと終わったと思ったわ。リズリンドの奴一切手加減せずに全力で殺しに来るし、体の自由もなかったから死ぬしかなくてさぁ。もう、私せっかく転生したのにまた死ぬんだって絶望しかなかったのに、気付いたら全裸で地面に寝転んでるとか、なんなの?」
「神の奇跡だよ、ロゼッタお姉さんの」
そう、ロゼッタの奇跡により戦争中、死亡したはずの兵士たちが蘇ることがあった。
その時に、実は敵方として強化兵になっていた一部の人々が五体満足、全裸で荒野に復活していたのだ。
その一人が、彼女である。
「ま、よかったじゃん。最後の最後で、願ったんでしょ。ロゼッタに」
「それは……」
「おかげで無事再誕果たして晴れて死んだ後に蘇った奇跡の聖女として認定されたんだから、これからよろしく、ローディアルア」
彼女の名は、ローディアルア。
私たちアルカエスオロゥが生みだした三人目の聖女にして、前世の記憶を持つ女である。
アルカエスオロゥの国民がマギアクロフト側に付いたことで強化兵にされたのだけど、ロゼッタによる奇跡で復活を遂げたのだ。
おそらく兄神への憎悪と共に、幾分か、ロゼッタに祈りを捧げたのだろうと思う。
その少しの願いを、彼女は再誕対象として認定したのだろう。
おかげでローディアルアは本日もライオネル純愛神教の聖女として、私たち共々日々の業務に追われているのである。
「なぜかしら? グッドエンド迎えた時よりも充実してるのよね、最近」
グッドエンドってあれでしょ、アルカエスオロゥの主要な男性を落として逆ハーレム達成とかなんとか。もともとそのやり方を前世で覚えてたんだから達成感も何もルート通りに動いて手に入れるべくして手に入れたモノじゃない。
そんなもの充実してるなんて言えるわけないわ。
忙しいし、男ッ気もみじんもない聖女の仕事。だけど彼女にとってはこの生活が今までよりよほど充実した生活になっているらしい。
なら、むしろ問題無し。日々を過ごして自分のやりたいこと、少しずつ見つけて行けばいいのよ。そうすれば、私みたいに運命の出会いもあるだろうし。
えっへへん。フェイルと私、どっちが早く家に帰れるかなぁ。帰ったら第一夫人がすでに食事を用意してるだろうし、今から家族水入らずで楽しい夕食が待ち遠しい。




