1882話、???、勝利宣言
SIDE:兄神
「見ているか! 見ているか我が妹よ!」
ああ、嬉しさがこみ上げる。
これほど嬉しい状況は神生初かもしれない。
私が望んだ人間たちが沢山の女を妻にして魔王を倒す快活劇を見るよりも、興奮している気がする。
自分の感情をコントロールしきれない程に高ぶっている。
今すぐにでも踊りだしたい位だ。
何度もロゼッタを確認して見ているが、動き出す気配すらない。
完全に沈黙している。
これでまだ戦える、何てもはや人間ではない。
ならばもう、こいつが復帰することは絶望的だろう。
もう数分、様子見を終えたら勝利宣言してしまおう。
強化兵たちも一旦侵略を止め、恭順した国々は見逃してやってもいい。
本来ならば全て一旦白紙に戻して一から世界創造を行ってしまった方がいいのだが、今はとても気分がいい。
ああ、生かしてやろうじゃないか。
強化兵にさせずにその身のままに。
首魁のロゼッタ・ベルングシュタットが死んだのだ。
もはや抗う意味もない。
お前たちは負けたのだ。敗戦だ。
ふふ、ははははは! やはり権力と軍団力がものを言うのだ。お前たちはこの私に首を垂れてただひたすらに許しを請えばいい。それだけで許してやろう。
我が創造したこの世界に住み続けることを赦そう。
お前たちの反乱の意志はもう二度と芽生えることはないだろう。
神に逆らうことの愚かさをしっかりと噛みしめ日々を生き、そして死ぬがいい。
「さて。そろそろ戦争を停止させてやるか。さぁ選択の時だ人類たちよ!」
まずは強化兵たちの動きを止めてやる。
これで何か異変があったと分かるだろう。
これ以上の戦いが無意味であると皆理解するのだろうな。
さぁて、各戦場を見ながら勝利宣言をさせてもらうか。
どれどれ。おお、強化兵たちが一斉停止したことで困惑しているな。
くくく、この私だからこそ行える慈悲であるぞ。
各所で強化兵が止まったことにより人間たちが一か所へと集まりだしている。
何が起こったのかを把握しようとしているようだが、ライオネル以外はまだ状況を把握できてないようだな。
確か、ライオネルの総司令官はフェイルだったか?
一応敵の総大将だから名前だけは憶えているが、はて、人間なんぞ見分けがつかんぞ。どれがフェイルだ?
まぁ、いいか。どうせ宣言すべきことは変わらん。
思えば、奴の出現からして煩わしい女だったな。
ゲームとして悪役令嬢として舞台から消えるでもなく、いきなり意味不明なやらかしでレベルを上げて、我が眷属を悉く潰し、ヒロインすらもそっちのけで暴走する。一番の罪はバハムティルウスの撃破だろうか。
あの駄竜め。わざわざ我に誓うから何をするかと思えば敵に塩を送ったばかりか片手で捻り潰せる人間風情に負けおって。
アレのせいで調子づいたあの女は予言の獣たちを撃破していったのだ。
そういえば、ベヘモータだったか? あいつは死んだのだったか?
まぁいい。
ともかく三体の災厄ももう使えそうにもないしな、約束の期日までに新しい災厄を三つほど造り出しておかねば。
あと問題としては、奴のようなキチガイが再び出てこないよう、人間共に楔を打ち込まねばならんな。
今のレベルはほとんどの奴がカンストしているのだったか。
レベルを1まで巻き戻しておくか。
レベルリセットは面倒なのだが。
面倒ではあるがやっておかねば万が一が起こり得るからな。
そもそもロゼッタから分岐したロゼの奴をこのレベルのまま放置するのは無しだ。
奴が敗北を受け入れるならレベルリセットを受け入れさせねばな。
無いとは思うが万が一我に匹敵する力を持たぬとも限らんからな。
可能性の芽は悉く潰してやるとしよう。
妹からの返答は……まだないな。
そろそろ謝って来てもいい頃合いだが?
ふん。まぁいいどうせ勝者はもう確定したのだ。
では、世界中に念話を送り、勝利宣言をさせて貰おうか。
返答は、一分もいらんだろう。
我が演説が済んだ時、それ以上の猶予をくれてやる必要もあるまい。
―― 世界中の人間共よ、聞くが良い ――
お前たちは負けたのだ。
これ以上の抵抗は無意味だ。
さぁ、敗北を受け入れよ。お前たちは我が威光を前にして這いつくばっていればいいのだ。
―― お前たちの首魁であったロゼッタ・ベルングシュタットは敗北した。これ以上の抵抗は無意味である。我が演説が終わるまでの間に敗北を受け入れよ ――
さてさて、どれほどの人類が残るかな?
―― 敗北を受け入れるならば我が双神への帰依を願い、今後一切の反逆を諦め、神への絶対服従を違うが良い。さすれば今の姿のまま我が世界での生存を赦す ――
おお、おお。武器を取り落とす者たちの絶望顔が大量だ。
―― ただし、貴様等のレベルは1に戻す。二度とパワーレベリングなんぞというふざけたものを行えんよう今後100年のレベルアップを禁止しよう ――
魔物どもも敵対したようだしな、そいつらもレベルを1に固定してやるから生存には問題あるまい。




