1635話、???、会議乱入
SIDE:とある信者
「さて、それではベルングシュタット領ロゼッタ教会幹部会を始めます」
本日、俺たちは教祖に呼ばれ、幹部会とかいう会議に出席させられていた。
皆思い思いに祈っていればいいだろうとは思うのだが、やはり締めるところは締めておかないといくら一枚岩のロゼッタ教といえども腐敗していくらしい。
教祖はいろいろ手を打っているようで、この幹部会もその一つだ。
幹部に指名されたのは、俺以外に六名。今後まだまだ増やす予定らしいが、ひとまずこのメンバーを中核にして十二人だか十三人だか増やしたあと、ロゼッタ教団ベルングシュタット支部円卓騎士団とか聖女の円環とか適当なチーム名を掲げて他の信者から一つクラスをあげるんだとか。
信者の管理や運営方法、他の教会やギルドなどとの折衝を行うのが幹部の役目だそうだ。
ざっと見回してみるが、残りの五人は皆ヤバい。
髪の長い女は容姿からしてゴーストか何かにしか見えないし、突然奇声を発して祈りだすから恐怖しか覚えない。
赤紫のショート外はね女はやる気なさそうにしかめっ面しているが、ロゼッタ神様の悪口聞くと鉄拳制裁しに突撃する武闘派だ。
一見柔和な笑みの神父か牧師にしか見えない優しそうなオッサンはロゼッタ神様のお言葉を話し出すと何時間も止まらない。下手に席を立とうとするとロザリオで頭カチ割ろうとしてくるキチガイだ。
黄色と緑のストライプカラーの女は隈の濃い目でブツブツ呟いているし、白髪の少女にしか見えない奴は私はロゼッタ神様の供物になりたいのっ、と常に笑っている。
これが幹部である。
キチガイしかいねぇじゃねぇか。こんなのと俺を一緒にしてくれるんじゃねぇよ教祖様よ。
「本来は十三名呼びたかったんだけどねぇ。これから起こることは刺激が強すぎるからこれ以上呼ぶのは精神的に危険だと思ったのですよ」
「あぁん? どういうこった?」
「つまり、こういうことです」
と、教祖が告げた瞬間だった。
「教祖ォォォォ―――――――――――――――――――――ッ!!」
ドグァッと壁が吹き飛び、ロゼッタ神様が現れた。
ここ、二階なんだけど?
「おやこれはこれはロゼッタ神様、ようこそいらっしゃいました」
「テテちゃんについて聞こうか。なぜ私に送り込んだ、言ってみろ!!」
おや、随分とお怒りのご様子。教祖、あんた一体なにしやがった。
テテ……知らんな。俺の管轄外か。
「雨に濡れたまま泣いておられましたので、ロゼッタ神様ならば導いてくださる、とお告げしただけでございますが?」
「だったらなぜ、彼女を巫女と呼ぶのかしら、まさか利用しようとしてないでしょうね!」
ああ、なるほど、ロゼッタ神様がお怒りの意味が分かった。
教祖がテテという少女を自分の意のままに操ろうとしているんじゃないかと疑っているのだろう。
「それは違います我が神よ。我が命を懸けて巫女様を操ろうなどとは思っておりません。ただ、私には見えたのです。あのお方がロゼッタ神教を導く巫女になる存在である、と」
なんだそりゃぁ?
「しかしながら今のままではロゼッタ神様に依存すると思うのですが、いかがでございましょう? このロゼッタ教団の孤児院に住まわせるというのは、もちろん、私は何も致しません。そもそも明日より他国の教団見回りに向かいますゆえ、この地には半年以上戻ることができません」
「……では、彼女にロゼッタ教と布教して精神を変えることはない、と?」
「孤児院では教団のことは一切伝えておりません。祈ることもしておりません。あくまで孤児たちは自分の意志で教団に入るか自立するかを選べるように教団との関りを極力減らしております。またその院長以下職員の管理をこちらの六人に任せようと、本日幹部会を開いたところにございます」
「幹部、会?」
困惑するロゼッタ神様に幹部会の設立について伝え始める教祖。
初めこそ怪訝な顔をしていたロゼッタ神様だったが、顎に手を当て真剣に考えだす。
「なるほど。確かにそれは必要ね。でも……」
俺たちをじろりと見回すロゼッタ神様。
「まともなのがいないようだけど?」
「もともと皆犯罪者ですゆえ」
「ああ、そうだった……そうね。このメンバーだと……あら、貴方騎士団に来てたわね」
「なんと、俺などの顔を覚えてくださっているのですか! おお、ロゼッタシンサマカワイイヤッター!」
「ぎゃあぁ!? 下っ端面が五体投地!?」
「ロゼッタ神様、俺ァ、この体も魂も存在も全てを貴女に捧げる者でございます! どうぞなんでも御命じくださいませ! 貴女様の願いであれば、世界も滅ぼしてみせましょう!!」
「滅ぼすな。ったく。んー。この中だったら一番マシそうか。んじゃ教祖さん、この下っ端面の人、孤児院運営にお願い」
「神の仰せのままに」
え、俺が孤児院任されるんです!?




