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1624話、とある少女、運命の出会い

SIDE:テテ


「はい、とうちゃーく」


 卵割り訓練が終り、私たちは元の訓練所へと戻って来た。

 正直気力は底を突いている。

 けど、これでようやく訓練についていけるんだと思えば、苦にはならない。

 

 ただ、想定より時間かかったみたい。

 すでに外は夕方で、キーリさんという、人とはちょっと違う生物と思しき人が大人たちの訓練を見ていたようだ。


「ごめんねキーリ、任せきりにして」


「問題はないでー。ウチ主はんの訓練指導見とったから大体の流れわかるし」


「さすがキーリ。頼りになるぅ」


「当然やないの。ウチの有用性は抜群やろー、惚れてええんやで?」


 とかいいつつ流し目送ってチラッチラッとロゼッタ様を見るキーリさん。

 人じゃないのは怖いけど、ロゼッタ様とは知り合いみたいだし、なんだか仲がよさそうなので危険人物ではないようだ。

 

「とりあえず五時なったから訓練止めたで?」


「ええ。問題ないわ。もう少ししたら夜勤組が来るから。それまでに皆に帰るようお願い」


「了解や」


「お爺ちゃんお婆ちゃんたちも、今日の訓練はここまでとします。また明日、今度は皆さんに交じって訓練しましょう」


「ほほほ、若いもんには負けんわい」


「むしろこの状態で負ける方が難しいぞい」


「若返った気分じゃわい。といっても調子に乗ると腰に来るからのぅ」


「あんまりひけらかさないようにねー。あと私兵団の御厄介になるようなことはしないようにしてね。守る側になるんですから加害者になっちゃダメですよー」


「ほっほ、心得ておるわい」


「さぁばあさんや。食材買って帰ろうかの」


「あらお爺さんったら。それは財布じゃあくてオムツですよ。使用済み、なんで持ったままなんですか」


「おーっとこりゃしもうた。ロゼッタの嬢ちゃん、これどうしたらええんかの?」


「おお、そうじゃった。儂もどうすればいいかわからず持っとるんじゃ」


「儂も儂も」


「記念に家に持って帰れということかと思っとったわい」


「そんなわけないんだよ。こちらの穴にご投入くださいな」


 あ、じゃあ私も。えい。

 次々に地面に生まれた小さな穴へと使用済みオムツが投げ入れられる。

 これらがどこに行くのか不安ではあるけど、持ち帰るんじゃなくて良かった。


 お爺さんとお婆さんたちが去っていく。

 訓練場から人波が去っていき、ロゼッタ様が私に向き直った。


「んじゃ、はいこれ」


 ポーション瓶に入れられた液体が揺れる。

 これ……さっきの!?


「お母さん用にね、一杯分なんだよ」


「あ、ありがとうございます!」


 ほ、本当に貰っちゃった。

 いいのかな、これ高いんじゃないの?

 と、ともかくお母さんに持っていかないと。


 両手でしっかりと持って、私は家路を急ぐ。

 手にした確かに感触が恐れ多くて全身を震わせる。

 これ、すごく高いと思う、それを届ける前に落としたりしたらと思うと、怖くて震えちゃう。


 周囲に気を配りながら、まるで不審者みたいになってる気がするけど、必死に家へと向かう。

 急げ急げ急げ。

 いつも歩く道なのに、なんだか見知らぬ街に迷い込んだみたいに、周囲の人全員が危険人物に見えてしまう。

 正直怖い。誰かがこの瓶を狙ってるんじゃないかと不安に思ってしまう。


「っと、すまん」


 どん、と道行くおじさんがぶつかって来た。

 あっと思う間もなく手からすっぽ抜ける霊薬。

 とっさに手を伸ばす、でも、届かない。


 やだ。

 せっかく、せっかくロゼッタ様がくださったのに!

 お母さんがこれで、これで元気になるはずだったのに!!


 倒れ込む。

 レベルアップした体は気を張ってなかったせいか、オジサンに押されただけで軽々倒れてしまった。

 何かしら、武術でも習っていればこんなことにはならなかったかもしれないのに。

 思わず涙が溢れる。


 あと、少しだったのに……

 お母さんが元気になる、はずだったのに……

 私が馬鹿なせいで……あ、れ? そういえば、ポーション瓶、割れた音、したっけ?


 私は慌てて顔をあげる。

 見上げた先に、彼女はいた。

 とても元気だとは思えないくらい、骨と皮しかない体で、しかし顔だけは異常なほどに笑顔のお婆さん。


 手には私の手からすっぽ抜けたポーションが握られており、私が気付いたことに気付いたお婆さんは中腰になって私に視線を向けた。


「ご加護を頂いたのに、哀れなことになるのは偲びありません、ええ。それはロゼッタ神様がお嘆きになってしまいますとも」


「あ、あの?」


「お立ちなさい、選ばれし巫女殿」


 み、みこ?

 変なお婆さんなのかも?

 私が涙を拭いて起き上がると、両手でしっかり私の手を取り、ポーション瓶を渡してくる。


「あ、ありがとうございます」


「神が与えたもうた奇跡です。貴女にロゼッタ神様のご加護を。ロゼッタシンサマカワイイヤッター」


 え? え?


「やるべきことを成しなさい、それが貴女を幾重にも成長させるでしょう。ふふ、私が成れなかったのは悔しいですが、巫女様、貴女の役目はきっと、とてつもなく凄いものとなるでしょう、では……」


 なんだか、不思議なお婆さんだったなぁ。

 というか、ロゼッタ神? ロゼッタ様と名前一緒だけど、なにか共通点あるのかな?

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― 新着の感想 ―
あのー、教祖さん?なんでテテちゃん巫女なんですか?どっからその考え出てきました?よからぬところから神託受けてません?お嬢から直接聞いた訳では無いですよね...???まだ、お嬢は人間、の、はず...?(…
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