食事を共にし、仲は深まる。
さて、昼休みになった。
残る授業は三コマ。
ノートは、この休み時間と次の休み時間で写し終わりそうだという事なので、これで春山は話しかけられやすくなるだろう。
さて、昼食の時間には、大抵幼馴染達のどちらか、もしくは両方が僕のもとへやってくる。
まあ、三人とも弁当を持ってこないから、高確率で食堂で鉢合わせるというだけだが。
なにしろ、行動パターンがほぼ同じなのだ。あの幼馴染二人とは、歩調から席の選び方まで酷似しているので、超高確率で鉢合わせる。
だが、毎回選ぶ食事は違うのだから面白くはある。
今日も、僕は食堂へと足を運んだ。
春山も一緒だ。
案内してほしいと頼まれたので、一緒に来ている。
「ん~。今日は中華丼かな」
「私もそれにしようかな……」
「いや、やっぱり僕は今日はかつ丼だな。一週間頑張ろうって気になれる」
「私は中華丼にする」
「わかった。まずは並ぶんだ。で、順番が来たら注文する」
「まあ、普通だね」
「うん。さしたる特徴はないよ」
「お? カズヤ。誰、その子」
「クラスメイトの春山だよ。そっちは一人か?」
「いや。アカリが今日はパンを買うって言って、先に席取りに行ってる」
「そうか。僕もそっち行っていい?」
「いいと思うぜ? 春山さんも一緒か?」
「うん。大丈夫かな?」
「ああ、あいつは僕以外には優しいんだ」
「いやぁ、俺にもそこそこ厳しいぜ?」
「そう? 僕なんて、今日体操着借りに行っただけで殴られたぞ?」
「見てた見てた。あれはお前の言葉が足りなかったよ」
「いや、わかるけど、普通殴る?」
「俺だって殴られるだろ」
「まあそうか……」
「二人は幼馴染なんだっけ?」
「ああ。てか、自己紹介してなかったな。俺は横山一樹。こいつと、今日君が体操服を借りたアカリの幼馴染。よろしく、春山さん」
「春山小春です。よろしくお願いします」
「入学早々インフルで休んでたんだって」
「なるほど、それでボッチのお前に助けを求めてきたってことか」
「おいおい、僕はボッチじゃないぞ。教室内に喋る相手がいないだけだ」
「それをボッチっつーんだよ」
「いや、友達はいるだろ?」
「二人しかいねーじゃねーか」
「ぐ」
「わ、私は?」
「そうだ、三人いるぞ?」
「おお、もうそんな仲良くなったのか。いやあ、俺もうれしいよ。やっとカズヤが俺ら以外の友達を持ってくれて」
「おい、そんなに茶化すなら、もう教科書化してやらんぞ」
「あ、順番来たね」
「お、ほんとだ。すみません、親子丼一つ」
「月曜日から親の目の前で子を、この目の前で親を食うのか。あ、僕はかつ丼で」
「私は中華丼お願いします」
こうして昼食を入手した僕たちは、アカリの待つ席へと向かった。
パンにしておけば、月曜日から並ばなくて済むのに。
とは、僕らを見たアカリの第一声だった。
「いや、月曜からパンを争ってもみくちゃにされるのも嫌だろ」
「わかってないなあ。月曜からそうやって体を動かしておくことで、一週間元気になれんの」
「はいはい、どうせ僕は文化部ですよ」
「にしても、お前めっちゃ買ってない? いくらかかったん? って、毎週聞いてる気がするけど」
「千円くらいだったはずだよ」
「よく昼食にそんなかけられるな。僕らは一律で五百円だぞ」
おまけに、もう百円払えば、いくらでもおかわりできる。
僕はそんなに食べないから払わないけれど、一樹はよくやっている。
さすがは運動部。
僕なんて、食べれば食べるほど太るだけだろうしな。
「私もそんなにたくさんは食べないからなぁ」
「春山は仲間だな……」
「で、春山さんはそっちのバカと、どういう関係なの?」
「バカとはお言葉だな。今まで、体育以外は負けたことないからな……?」
「人の価値は成績じゃないよね。うんうん」
「あ、私は遠山君に色々教えてもらってるの。実は、インフルエンザで入学してから休んでて……」
その後、僕たちは昼休み中喋り倒した。
もちろん、春山のノート写しは終わらなかったよね。
ほんとに1日が終わらない……!
シリーズの別作品も、よろしければお読みくださいませ。




