プロローグ1
初投稿となります。
「お疲れ様でしたー」
挨拶をして彼は会社の先輩、同期と別れる。そのままいつも通勤で使っている歩道を、終電間際で乗り過ごさないよう少し早歩きで駅まで向かう。
時刻は午後11時過ぎ。やっと1日の労働からの解放で、しかも明日は彼にとって久々の休日だ。
「(明日は何をしようか? 朝からビール飲みながら、撮りためていたアニメでも一気に見ようかな。ビールさえ飲んでしまえば、
いきなり会社から連絡あっても断りやすくなるというものだ。…実際はだめかもわからんが)」
彼、"森宮透(もりみやとおる)"は今年で30歳(独身)になる機械設計者。ロボットにあこがれてこの業界を目指したこともあり、プラモ作成にアニメ、SF映画などの鑑賞が趣味のサラリーマンだ。
そんな透にとって、朝から酒を飲みながらのアニメ鑑賞はまさに極楽といえる。なので少しテンションも高めである。
「(まずは何から見ようかなぁ?)」
そんな風に明日の予定を考えながら、仕事のこりをほぐすためにう~ん、と両腕を伸ばす。
…変化は一瞬だった。両腕を伸ばすと同時に強烈なめまいが襲ってきたのだ。
「(なんだ!?やばい、倒れる!)」
そのまま地面に倒れこむが、それでもめまいは治まらなかった。
それどころか急激に頭痛が襲ってきている。
「(嘘だろ!?まずい、誰か!)」
必死になって声を出そうにも一向に出せず、体も動かすことが出来ない。
偶然辺りにいた何人かの人が、あわてた様子で駆け寄ってくる。
何か話しかけているようだが、透には聞こえなかった。
そして、だんだんと辺りが薄暗くなっていく。
「(ああ、本当にやばいなぁ)」
そんな考えを最後に、透は完全に意識を手放した。
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「ようこそ、おいで下さいました。森宮透様」
そんな声に促されるように透は目を覚ました。
意識は若干朦朧としているが、めまいや頭痛などは治まっているようだ。
落ち着いて辺りを見てみるが、灯りは薄暗くよく見えない。
「(なんだ、ここは?)」
そんな疑問を考えると、先ほど透に声をかけてきた女性が話しかけてくる。
「ここは面談室のようなもの、と考えて下さればよいかと思います」
朗らかにそんなことを透に語りかけてくる。
すると辺りが明るくなり、彼は周りが見えるようになると同時に自分がおかれている状況を把握した。
そこはソファーがテーブルを挟んで向かい合って置かれており、透はその片側に座っている。
壁には風景の絵画、部屋の隅には観葉植物。本当に会社にあるような面談室である。
そして透と反対のソファーに座っているのがおそらく先ほど話しかけてきた声の持ち主だろう。
その女性は、見た目は金髪美人さんである。もちろん透にはそのような知り合いはいない。
「えっと…」
透が困惑していると、何かに気づいたようにさらに話しかけてくる。
「失礼しました。私はアイニーシェ。アイニスとお呼び下さい。森宮様は現在困惑なされていると思いますので、順番にお話させて頂きたいのですが、如何でしょう?」
「ああ、はいお願い致します」
透には何がなんだか分からないが、反射的にそう応える。
そして一回深呼吸をし、とりあえず話を聞いてみようとアイニスに視線を向ける。
「ありがとう御座います。まずはこの場所のご説明からさせて頂きます。ここは世界の管理をしている所の面談室とお考え下さればよいかと。」
「は?」
透は思わずそう口に出してしまった。まずったと思いあわてて口を閉じる。
アイニスはそんな透を見て「お気にしないでください」と説明を続ける。
「世界の管理と言いましても、森宮様が過しておりました《チキュウ》とは別の世界です。現在を含むかの世界には管理者がおりませんので。ここまでで何かご質問は御座いますでしょうか?」
何かどころではない。透にはわけが分からないことだらけだ。
「えっと、世界の管理ですか?それと別の世界?」
透はさらに混乱する頭で、何とか疑問を声に出す。
「はい。《チキュウ》が在る世界は別の世界です。別の空間、といっても良いかも知れませんね。詳細は省きますが、空間的に連続していない場所と思っていただければよいかと。」
「不連続の空間、別の世界…」
「はい。そしてこの場所はその世界を管理しています《管理所》といったところです」
そう言うとアイニスは上へ手を伸ばす。するとアイニスの頭上の何もない空間に映像が浮かび上がる。それには透が倒れ、意識を失った画が写っている。
「この画は…」
突然浮かび上がった映像と、そこに映し出されている倒れた自分の姿に驚いていると、アイニスは話し始める。
「森宮様、あなたはこのときにお亡くなりになっています」
4/29 修正




