疑似恋愛
恋をすると女の子はかわいくなる。本当にそうなのか、まだ恋をしたことのない私にはわからない。ただ、恋をしている友達を見ていると、本当かもしれないと思う。
※
1.
「奈々未~!!おっはよ~!!」
下駄箱で靴を履き替えていると後ろから花音がものすごい勢いで飛びついてきた。朝から元気だな。そう思いながら
「おはよ。」
と振り向きもせず返事をすると、そっけなさが気に食わないのか花音は少しふくれ面をした。
「朝から暗いよー、これだからなー恋してない人は。」
「恋してない、は余計だよ。」
そう言いながら教室に向かう。毎日、この会話の繰り返しだ。私もできることなら恋をしたい。片思いでもいいから、胸が苦しくなるような恋をしたい。そうすればいつもの平凡な日々も、平凡な私も、変わるかもしれないから。
「そういえば!私ね今度橘先輩とデートすることになったんだー!!」
花音は目を輝かせながら私の顔を覗き込む。
「えー!すごいじゃん。どこ行くの??」
「ん~映画かカラオケ行きませんかって言ったら、映画行こうって!そのあとどこ行こうかはまだ考え中~。」
そう言った花音の声はすごく弾んでいて、顔はにやけていて、かわいい、と思った。羨ましくも思った。
「へぇ~楽しみなんだね。顔にやけてるもん。」
と少し冷やかしながら言うと花音は「うそ!」と顔を赤らめた。
本当に好きなんだな。
やっぱり私は花音を見て、応援しているだけで十分だよ。恋は疑似恋愛でいい。




